©あべゆみこ

子どもが言った言葉に即刻、反応して、自分の身体が自動的に動いてしまうことってありませんか?

「ママ、おしっこ!」と子どもが言えば慌ててトイレに連れて行ったり、「ママ、水!」と言えば水を差し出したり…。

自分の身体から生まれた子、そんな我が子のことは手に取るように何でもわかってしまうのがママです。でも、察しよく先回りしすぎると、もしかして子どもの言葉も行動も遅れてしまうかもしれません。

1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の立石美津子が詳しくお話しします。

 授業中に「立石先生、鉛筆!」と言われた

筆者は長年、学習塾で小学生に教えていた経験があります。そんな中、必ず何人かは鉛筆を忘れてきた時、こんな風に叫んでいました。

「立石先生!鉛筆!」

要は「鉛筆を忘れたので貸してください」を略して言っているのです。「鉛筆!」と叫べば「自動的に先生が鉛筆を貸してくれる」と思っているのかもしれませんね。

こういう子ども達の家庭環境は、おそらく「ママ、お茶」「ママ、ご飯」と言っただけでお茶やご飯が自動的に出てくるのでしょう。でも、家庭内では通じても、他人にこの口の利き方では困りますよね。

解決策は?

筆者はこんなとき、あえて知らん振りして次のように返事をするようにしていました。

「え?なんですか?立石先生は鉛筆ではないですよ。鉛筆がどうしたの?」

子ども達はこの注意にハッとして、「立石先生、鉛筆を貸してください」と言い直しました。

子どもが3歳くらいまではこれでよいのですが、4歳を過ぎたら次のように言わせるようにしてみましょう。

「ママ、(喉が渇いたので)お水ちょうだい」

「ママ、(お腹すいたから)早くご飯が食べたい」

できればカッコ内まで話せれば尚よいですね。これで子どもの語彙はうんと豊富になります。

これは夫も同じかもしれませんね。

表情で訴えても相手に気付いてもらえない

小学校に入学すると、1クラス35人編成です。担任の先生は幼稚園、保育園時代と違って、身の回りの世話をしてくれるというよりも、国語、算数などの教科学習が始まり、学力をつけることに重きを置くようになります。

「生きていく上で必要な学力をつける」それが小学校の大きな目的だからです。

ですから、自分が困ったとき「先生が気が付いてくれるかな?」では困るのです。自分から「困っているので助けてください」とSOSを出さなくてはなりません。

例を挙げてみましょう。