牛肉を焼くのは、極めてシンプルな調理法。それだけに、ちょっとの下ごしらえや火加減が味を左右するのも事実。塩のタイミングや肉の温度管理など、考え方やテクニックは、料理人によっても異なります。今回は、日本産の牛肉を焼くときの基本的なメソッドをご紹介します。
Method 1:どう焼くか、イメージを決める。
肉のタイプ、厚さなどにより、どう焼くかをまずは考えます。赤身の、味わいのしっかりした肉ならば、強火で表面をがしっと焼いて、中は生っぽく仕上げる。きめの細かい黒毛和牛ならば、低温のオーブンで丁寧に火入れして、均一なロゼ色に焼き上げる、など。表面の焼き色、中の火の通り具合などイメージを持って焼くことが大切です。肉焼きは経験が大切。イメージを持って何度か焼いてみてください。
Method 2:常温に戻すか、戻さないか。
焼く前に常温に戻すのが基本。手で触って冷たくなく、肉が気持ち良さそうに緩んでいる状態になるまで、時間をおいてください。そうすることによって、火の通りにむらがなくなります。ただし、中まで均一に火を入れたくない場合には、あえて常温に戻さないということも。
また、1cm程度の厚みのない肉は、焼き色がつく前に全体に火が入ってしまうことがあるので、冷たいまま焼くことをおすすめします。
Method 3:塩はいつふる?
基本的には、肉を焼く前にあらかじめ塩をふらないこととしています。後から塩をふる方が肉の味をストレートに味わえます。冷めてから食べる肉の場合にはあらかじめ塩をふります。塩をすることによって、浸透圧の作用により水分が出て身がしまります。
また、塩の旨味が浸透することで、こなれた味わいになります。前塩は肉に浸透することが目的なので、粒子が細かい塩を。仕上げにふる塩はフルール ドセルなど粒子が粗めの旨みのある塩を。