国内外で日本のマンガへの関心が高まるなか、全国の一般読者1,000名とマンガ制作の経験のある100名を対象に、AIの活用に関する意識調査を実施しました。




国内のマンガ制作現場ではAIの導入が急速に進む一方で、読者の間ではAIに対する懐疑的な意見も存在しています。そこで私たちは、全国の一般読者1,000名とマンガ制作に関わる100名を対象に、マンガ制作におけるAI活用に関する意識調査を実施しました。

本調査からは、「AIマンガに対する読者の強い拒否感」と、「制作現場で日常的に使われ始めているAI」という、はっきりとしたギャップが見られます。以下は、本調査で浮き彫りになった、マンガへのAI導入に関する特に注目すべき調査結果です。

主な調査結果
- 回答者の約3分の2が、「大部分がAIで制作されたマンガは読みたくない」と回答しており、AIマンガに対する抵抗感は非常に強い。
- AIの進化によって漫画家の仕事が脅かされると考える人は全体の4割を超えており、将来への不安や警戒感が広く共有されている。
- 多くの読者は、AIが人間よりも創作面で優れているとは考えておらず、創造性は依然として「人の領域」だと認識している。
- 一方で、マンガクリエイターの約6割はすでに制作工程でAIを活用しており、AIは現場レベルでは日常的な存在になりつつあることがうかがえる。
- AIを使用しているクリエイターの多くは生産性の向上を実感しており、AIを創作そのものを置き換える存在ではなく、作業を支援する実用的なツールとして捉えている。


調査結果
Q1 もし大部分がAIで制作されたマンガだと知っていても、読みたいと思いますか?



調査対象:男性500名、女性500名

AIを主に用いて制作されたマンガを読みたいかという質問では、全体的な関心は低い結果となりました。「ぜひ読みたい」と答えた人はわずか8.5%、「たぶん読む」が26.2%で、肯定的な層は約3分の1にとどまります。一方で否定的な回答は多数を占め、41.0%が「あまり興味がない」、さらに24.3%が「読みたくない」と答えています。合計すると65.3%が消極的または拒否的であり、AI制作のマンガに対する抵抗感が強く表れています。

全体として、AIが制作に大きく関わったマンガに対して前向きな読者は少数派で、多くの人は読むことに積極的ではないようです。

Q2 以前のアンケートで「現在または過去にマンガ制作の仕事をしたことがある」と答えた方にお聞きします。 現在、マンガ制作にAIツールを使用していますか?



調査対象:男性61名、女性39名(マンガ制作の経験がある回答者のみが対象)

AIの導入はマンガ制作者の間で既に広く進んでいます。全体の59%が制作工程でAIツールを「定期的に」または「時々」使用しており、AIを使う予定がないと答えたのはわずか16%でした。マンガ制作者の間ではAIへの抵抗が比較的少ないことが分かります。

総じて、今回の調査に参加した多くのマンガ制作者が、何らかの形で既にAIを制作プロセスに取り入れていると言えます。

Q3 AIツールはマンガ制作の生産性向上に役立っていると感じますか?



調査対象:男性61名、女性39名(マンガ制作に携わった経験のある回答者のみが対象)

AIによって生産性が向上したと感じるクリエイターが多数派を占めています。全体の60%が「大幅に向上した」または「やや向上した」と回答しており、一方で「効率が下がった」と答えたのはわずか8%でした。

ここでは明確な男女差が見られます。女性クリエイターは男性よりも「生産性が向上した」と答える割合が若干高く、反対に男性は「特に変わらない」と感じる人が相対的に多い傾向がありました。この結果から、本サンプルにおいては女性のほうがAIツールから実務的な恩恵を受けやすい可能性が示唆されます。

総じて、クリエイターはAIを制作効率を高める有用な手段として受け止めており、多くが実際に効果を実感しているようです。

まとめ
今回の調査から、読者とクリエイターでは「これからのマンガの姿」に対する見方が大きく異なることが明らかになりました。一般読者のAIに対する姿勢は慎重というより、むしろ否定的に傾いています。AIを主に用いて作られたマンガを「読みたいとは思わない」と答えた人が多数を占め、AIによって漫画家の仕事が脅かされるのではないか、あるいは長年培われてきた技術や表現が失われてしまうのではないかと不安を抱く声も多く見られました。読者にとって、AI生成のマンガは「人の手による創造性」や「作品に宿る感情の深み」から距離を感じさせる存在であると言えます。

一方で、クリエイターにはより実務的で現実的な視点が見られます。AIはすでに多くの制作現場で活用されており、大半のクリエイターが効率向上につながっていると評価しています。多くの場合、AIは創作そのものを置き換えるものではなく、作業を補助する道具として使われています。たとえば、長文資料を読む際に要点だけを素早く把握するためにPDF要約ツールが使われるのと同様に、マンガ制作においてもAIは一部の工程を効率化する実用的な手段として受け入れられていると言えるでしょう。

総じて、AIをめぐっては懐疑的な人々と導入が進む現場のあいだに明確なギャップが存在しているようです。AIがマンガ制作にどのように組み込まれていくのかは、技術の進化だけでなく、読者とクリエイターのあいだで共有される創作観や信頼関係によっても左右されると考えられます。AIがどこまで制作を支え、どこから先を人が担うのか。その線引きは、今後の日本のマンガ文化の方向性を考えるうえで、引き続き重要なテーマであり続けるでしょう。

調査方法
読者とクリエイターが、マンガ制作におけるAIの活用や西洋での実写化をどのように受け止めているのかを明らかにするため、2025年11月にセルフ型アンケートツール「Freeasy」を利用して2つの調査を実施しました。

1つ目の調査は、2025年11月4日に全国の15~99歳の1,000名を対象に行われました。ここでは、AIによるマンガ制作や西洋での実写化に関する認知度、態度、視聴・読書行動など、一般読者の幅広い意識を把握しました。
続いて、11月13日~15日に実施したフォローアップ調査では、初回調査から抽出したマンガ制作経験者100名を対象に、制作ワークフロー、AIツールの利用状況、海外実写化への考え方、そして今後のマンガ制作に対する見方を詳しく尋ねました。

これら2つの調査により、一般読者と業界のクリエイターがAI、創作、文化的な翻案をどのように理解し、どこで意見が重なり、どこで違いが生じているのかが浮き彫りになりました。



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