子どもに発達の遅れ(凹凸)があると小学校の進級先をどこにしたらよいか悩んでしまいますよね。10月~11月にかけて就学時健診が行われ、ここで行政からの進級先のアドバイスがあります。
でも、親の意向が最優先されるので賢い選択が必要になってきます。
『発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年』の立石美津子がお伝えします。
小学校の種類
通常学級(普通学級)
普通クラス。
発達障害の子は通常学級に籍を置きながら、月に数日、数時間、課題に合った支援・指導を受けられる“通級”を利用したり、支援学級にずっと席を置く方法もあります。(“特別支援教室”の整備が東京都ではされつつありますが、まだ十分ではありません)
特別支援学級
知的障害、肢体不自由、病弱身体虚弱・弱視・難聴・言語障害・自閉症・情緒障害児が通う学級。
特別支援学校
障害児だけが通う単独の学校。
親の意向が優先されることで起こること
進路先は保護者の意向が最優先されるため、知的に重い子どもであっても通常級に進むことが出来ます。親御さんには様々な考え方がありますので、それにより子どもの進級先が180度変わることも起こります。
例えば…
特別支援学級が併設されている同じ学校内で知的に重い子どもが通常級に在籍し、知的に軽い子どもが特別支援学級にいる等です。
「障害が重くても、普通の子と分け隔てなく同じ教室にいて、刺激を受けて成長を望みたい」という親と、反対に「障害があるのだから、きめ細かく個別に対応してくれる支援学級を選びたい」という考えの違いにより起こったケースですね。
その結果、現場では…
- 通常級で問題なく過ごせる子が特別支援学級にいる
- 特別支援学級で手厚い指導を受けた方がよい、知的にある程度遅れのある子どもが通常学級にいる
- 知的に重く、食事、トイレなどの身辺自立が難しい重度の子どもが特別支援学校ではなく特別支援学級にいる
となってしまいます。
このように子どもの状態と在籍する学校のミスマッチが重なっていくと、“障害の軽い子も重い子も含め、一人ひとりの学びの機会を最大限保障することが教育の目的”であるのに、それぞれのクラスや学校で障害程度がかけ離れた子どもが存在していて、混乱している現場となってしまいます。
トイレトレーニングはしてくれない支援学級
ある公立小学校の支援学級に身辺自立の出来ていないオムツをつけている重度の子どもがいました。行政からは支援学校に行くように勧められていたのですが、保護者の希望により支援級に通っていました。
でも支援学級では、オムツをつけている子どもに外す訓練はしないことがほとんどです。教員数が支援学校ほど多くはなく、スタンスも違うからです。
赤ちゃんを相手にするようにオムツ替えはしてくれますが、本人にトイレの自立を意識させる“トイレトレーニング”はしてくれないのです。この子を見ていて「支援学校に入学していればオムツを外してもらえたのになあ」と思いました。
子どもの状態に合わないクラスに在籍し、担任に対して「うちの子がみんなについていけるように、きちんと対応してくれ!」と言っている保護者もいました。
でも、これは内科を受診して「虫歯を治してください」と言っているのと同じことのように筆者は感じてしまいます。