グレーゾーンの子どもの場合、どこに進級したら良いか

知的発達に遅れはないけれど学習や行動面で困難があり、発達障害の可能性のある子どもたちは、日本の小中学校でおよそ6.5%いると言われています。

行動面に目を向けて

グレーゾーンの子の場合、支援学級では学力をつける点で物足りないので通常学級の中で配慮を受けながら頑張っていく選択、反対に通常学級では他の児童との関わりによるストレスが大きいため、支援学級の落ち着いた環境に進級する選択もあります。

ただ、通常級では自分が興味を持てない教科であっても45分間じっと座って授業を聞いていなくてはなりません。注意欠如/多動性障害(AD/HD)のためこれが出来ない場合、つい部屋から脱走したくなりますが、それが許されず本人も苦労します。

また勉強ができることと、社会性があることとは別物で、学校生活は勉強だけでなく複雑な友達関係も存在します。幼児期は周りも幼い子たちなので「みんな仲良く」が通じますが、年齢が上がると陰湿な苛めもあり、そうはいかないケースも起こります。

障害が軽くても行動面や社会性の面で困難が大きい子どもの場合は、専門性の高い先生と出会いやすく、個別の指導計画・個別の教育支援計画が作成される支援学級がベストのこともあります。

お子さんの状態を見て通常級、支援級、どちらにするか検討してみましょう。

担任に伝えること

通常級に進む場合、担任には“個別の指導計画”や“個別の教育支援計画”の作成義務はありません。少しでも先生が配慮しやすいように家庭側からお子さんの状況を細かに伝えましょう。

先生は多忙です。「発達障害とは何か?」を解説した分厚い専門書籍をドーンと手渡して、「先生もこれぐらいは理解してください!」と要求することは避けましょう。

「教員だから発達障害の知識は当然あるだろう」といった思い込み禁物です。どうしてかというと、あなたの子どもについては無知だからです。

生まれたときから365日24時間、子どもを育ててきたのは親なのですから、どんな立派な精神科医や大学教授が書いた文献よりも、親が子どものことを知っている専門家なのです。

担任が少しでもうまくクラス運営をできるよう、具体的に何をどうすれば良いか、細かいカルテ(どういうことが苦手で、どんな時にパニックを起こすか)を作り、お願いする姿勢でいましょう。

担任だけでなく、本人への告知、保護者、クラスメートにも特性を伝えましょう。こうして大勢の人に配慮してもらいながら、楽しい学校生活を送ることができるようになるからです。

子ども自身は言えない

子ども本人は情報や意思を持って「僕には○○のクラスが合っているから、そこに通いたい」とは言えないわけです。そうなると、保護者が子どもの将来にかかわる重大な選択をすることになります。

ところがここで、“子どものため”ではなく、“親の願い”を投影した就学先選択がなされることも少なくありません。

それぞれの家庭の方針があると思いますが、置かれた環境次第で自信が付いたり、自己否定したりするのが人間です。ですから、“子どもの能力に一番適した成功体験や達成感が得られる教育環境”を与えてやることがポイントなのではないでしょうか。

書籍『発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年』も是非参考にしてくださいね。