株式会社ジンズホールディングス(以下JINS)は、新しい価値の創造に挑戦するため、従業員のクリエイティビティを刺激するJINS東京本社の3階ギャラリースペースに、国際的に活躍するキュレーター・長谷川祐子氏のキュレーションのもと、アーティスト・YOSHIROTTEN氏の展示「光景 JINS LIGHTSCAPE」を2026年6月19日(金)より開始しました。

(C)KEIZO KIOKU
枠組みにとらわれない技法で生まれたアート作品が、従業員の感性・創造性を育む
JINS東京本社は、多彩なアートを取り入れることで従業員のクリエイティビティを刺激する、新しい価値創造に挑戦するための社屋です。地上9階建てのビルを一棟借りし、建築家・高濱史子氏により「壊しながら、つくる」と「美術館×オフィス」をコンセプトにフルリノベーションしました。3階は商談室フロアの廊下部分をギャラリースペースとして活用。長谷川祐子氏の監修のもと、創造性が充填される場所として従業員はもちろん社外の方の感性にも働きかける、「美術館×オフィス」を体現する空間となっています。
これまで、アーティストの立石従寛氏、松田将英氏、保良雄氏の共作「Gravitation」をはじめ、写真家・高木こずえ氏による「プラネタリウム」、アーティスト・カミジョウミカ氏による「色彩遊戯―ミクロとマクロの間で―」の作品展を開催。旧来の枠組みにとらわれない、新しい技法によって生まれたアート作品は、従業員の感性を豊かに広げ、組織全体の創造性を高める土壌を育んでいます。
創業地・前橋でのフィールドリサーチやJINS東京本社の環境から創造した光の展示
今回、アート作品を展示するYOSHIROTTEN氏は、ファインアートと商業美術、デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、複数の異なる領域を往来し、映像や空間演出、インスタレーションなど、さまざまな表現方法で新たな視覚体験を提示します。
展示されるのは、自然界の要素とデジタルな質感を融合させた《FUTURE NATURE》シリーズの技法を用いたオリジナル作品です。同シリーズは、周辺環境を“データの蓄積”として捉え、光という不可視の存在のなかに人々が見出す“美”やそこに潜む“崇高さ”に、YOSHIROTTEN氏が独自の感覚に基づき迫るものです。
展示は、JINS創業の地・群馬県前橋市でのフィールドリサーチやJINS東京本社のオフィス環境から創造された、三つの作品群で構成。一つ目の「Menhir 2」は、JINS東京本社5~8階の吹き抜け空間に設置した採光センサーが取得する光データをリアルタイムでモニターに映し出します。環境に呼応して波打つ色彩は、宇宙の永続的な変動を思わせる瞑想的な体験を生みます。二つ目の「JINS景」は、JINS前橋本社、JINS PARK、JINS東京本社、白井屋ホテルで撮影した建築や砂、花などをコラージュした映像作品です。三つ目の「Tranthrow」は、同じフィールドリサーチで採光した太陽光のデータをグラフ化し、訪れた時と場所の光の表情を切り取った作品です。
不可視の光にアプローチする本展示を通して、YOSHIROTTEN氏はアーティスト独自の解釈でJINSのルーツや文化という見えないものを表現します。
展示「光景 JINS LIGHTSCAPE」

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▲「Menhir 2」は、JINS東京本社の5~8階にある吹き抜け空間を活かし、採光センサーで計測した光のデータを、モニターディスプレイにリアルタイムで映し出す。

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▲「JINS景」は、JINS前橋本社、JINS PARK、JINS東京本社、白井屋ホテルで撮影した写真をもとに、建築や砂、花、光の干渉が生む虹色の模様などをコラージュした映像作品。

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▲「Tranthrow」は、JINS創業の地・前橋にある、JINS前橋本社やJINS PARKなどで採光した光によって生まれた、5点を展示。

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長谷川祐子氏コメント
光は、見るものではない。感じ直すための、媒介である。YOSHIROTTENは長年、自然とテクノロジーの境界に立ち続けてきた。太陽、光、色彩、地球--根源的な存在への探究をもとに、彼の実践は「見る」という行為そのものを問い直し、私たちと世界との関係を更新する体験へと変換してきた。本展は、JINSの思想「Magnify Life - まだ見ぬ、ひかりを」と深く響き合う。ここで光は"見る対象"ではなく、"存在をつなぐ構造"として立ち現れる。
《Tranthrow》は、前橋のオフィスや白井屋ホテルなど各地の固有の光を、センサーによって採取・可視化した作品だ。波長と気配は美しい色彩のグラデーションへと変換され、その土地と時間が持つ固有の空気を静かに浮かび上がらせる。光が記憶になり、色が場所の声になる瞬間が、ここにある。《Menhir 2》は、JINS東京本社に設置された光センサーに応答しながら、映像が絶えず変容し続けるインスタレーションだ。光はデータである以前に、環境・身体・時間・感情を貫く"生きた流れ"として現れる。システムは制御のためではなく、感応のための器として機能する。
YOSHIROTTENのエンジニアリングは、効率のためにあるのではない。まだ言葉にならない感覚を掬い取り、見えていなかった世界との関係をひらく--「知覚のための機構」を創造する試みといえる。ここに広がるのは、未来の自然の風景。そして、まだ見ぬ光との、最初の出会いである。

(C)木奥 恵三
【長谷川祐子(はせがわゆうこ)氏・プロフィール】
キュレーター/美術史家 / 京都大学経営管理大学院客員教授 / 東京芸術大学名誉教授、国際文化会館アートデザイン部門プログラムディレクター / 前・金沢21世紀美術館館長。
文化庁長官表彰(2020年)、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ(2015年)、ブラジル文化勲章(2017年)、フランス芸術文化勲章オフィシエ(2024年)を受賞。これまでイスタンブール(2001年)、上海(2002年)、サンパウロ(2010年)、シャルジャ(2013年)、モスクワ(2017年)、タイ(2021年)などのビエンナーレや、フランスで日本文化を紹介する「ジャパノラマ:日本の現代アートの新しいヴィジョン」、「ジャポニスム 2018:深みへ―日本の美意識を求めて―」展、直近では2026年のイタリア(ベネチア・ビエンナーレ)におけるシリア・パビリオンなど、数々の国際展を企画。主な著書に、『キュレーション 知と感性を揺さぶる力』(集英社)、『破壊しに、と彼女たちは言う:柔らかに境界を横断する女性アーティストたち』(東京藝術大学出版会)、『ジャパノラマ : 1970年以降の日本の現代アート』(水声社)、『新しいエコロジーとアート「まごつき期」としての人新世』(以文社)。
YOSHIROTTEN氏コメント
JINSの発祥地である、群馬前橋を訪れた。白井屋ホテルに泊まり、深夜営業の鰻屋で食べ、向かいにある古いバーに寄って、LIQUID SUNというウィスキーを飲んだ。
翌朝天気は曇りだが、ホテルの吹き抜けにやさしく入る光をみた。それから川原町のJINS前橋本社をまわり、屋上から町を眺めた。空を覆う白い雲と溶け合うような白い建物で光を集める。赤城山から飛んでくる砂が時間をかけて床を白く染めその痕跡を残していた。最後はJINS PARKへ。外の植栽アケビの花とローズマリーに当たる光が綺麗だからここにしましょうとエンジニアのアスカ。
東京に戻って集めた光のデータをもとに前橋の光や空気、見えない何かを思い出しながら色付けていった。
そして神田のこの建物にも分光器を置いてみる。この日この時間の光がどう描き、ここを訪れる人がなにを感じるのか。楽しみにしています。

Photo: Kazuki Miyamae
【YOSHIROTTEN(ヨシロットン)氏・プロフィール】
1983年生まれ、アーティスト・アートディレクター。
YOSHIROTTENの創作の根底には、「未知なるもの」への尽きせぬ関心が横たわっている。自然とテクノロジーの双方に対する直感的な感受性を背景に、光と物質、霊性と実証、古代と未来といった概念が溶け合い、共存する世界観を描きます。近年は、色彩や地球、太陽など根源的な存在のリサーチや仮説を元に、S.F.的な視覚言語を探究するシリーズを発表しています。
代表を務めるデザイン・スタジオ「YAR」では、広告・イベント・ロゴタイプ・内装/外装デザイン、ウェブ、映像など、商業に於いて、視覚芸術が関わるほぼ全ての範囲で、膨大な量の仕事を手掛けています。また、アーティストとしても精力的に活動を続けています。主な個展には〈FUTURE NATURE〉(2018年、TOLOT heuristic SHINONOME)、〈SUN〉(2023年、国立競技場・大型車駐車場)、〈Radial Graphics Bio / 拡張するグラフィック〉(2024年、ギンザ・グラフィック・ギャラリー)、〈FUTURE NATURE II In Kagoshima〉(2024年、鹿児島県霧島アートの森)など。
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