その7 焼き鳥は俳句の季語でもある

さまざまな事象に季語を当てはめ、ココロを詠む俳句。焼き鳥はなんと冬の季語である。

『俳諧歳時記』(新潮社)によると、「暖簾に首を突っ込み、一ぱいやりながら一串齧る。~中略~冬の町の夜景の一つであろう」と記されている。詩情を深く感じさせる俳句と、人生の悲喜こもごもを笑い飛ばす川柳とをくらべると、にぎやかさや生活感を感じさせる焼き鳥は、川柳向きな季語のような気もする。

また、暑い夏にビール片手に焼き鳥というほうがしっくり来ないでもないが。こういったところがまた、焼き鳥という肴の奥深さであろう。

 

その8 おいしさのさらなるトビラを開けるカギ「薬味」

カウンターに居並ぶ薬味のツボやビンは、焼き鳥好きにとって魅力的なもの。なにせ薬味は、塩とタレしか選択肢がない世界において、振りかけるだけで自分好みの味に変えてくれる楽しい仲間。七味唐辛子や山椒は、濃い味のタレ焼き鳥の脂っぽさを消し、食欲を増進させてくれるし、山椒には内臓肉の生臭さを消す効果もある。

味にアクセントを付けたいときは、一味唐辛子の純粋な辛さや、柚子胡椒の豊かな香りがおすすめ。シンプルな食べ物だけに、いろいろ試して焼き鳥道のさらなるトビラを開きたい。

 

都道府県のやきとり店分布

その9 ザ・焼き鳥日本一決定戦全国大会

『タウンページ』に掲載される焼き鳥店の数を数え、人口数で割ってみると、一人当たりの店数が計算できる。これにより焼き鳥店が日本一多いエリアを調べたところ、一万人あたりに2.9店舗と、九州・沖縄地方が圧倒的であった。

対して、一万人あたりの店数が1.3店舗と少ないのがなんと中部地方。三大地鶏の筆頭である名古屋コーチンを有する愛知県がこんなことでいいのか! 焼き鳥店に通いつめ、愛知の焼き鳥経済の向上に努めたい。

 

都市部のやきとり店ベスト

しかし、その一方で「区を持つ都や市選抜 日本一の焼き鳥区」を調べてみたところ、名古屋市中区は堂々の4位。面目躍如を果たしているのでご安心されたし。

 

 

<焼き鳥のよもやま話について教えてくれた 土井中 照先生>
本名/田中晃。1954年愛媛県今治市生まれ。同志社大学文学部中退。松山市でデザイナー、プランナーとして活躍した後、今治市へ帰郷。会社員をしながら、さまざまな地域活動に参画した。1999年、しまなみ海道開通を期に今治市が焼鳥日本一の街であることを実証した『やきとり天国』で注目される。独自の視点からのしつこい資料検証とユーモラスな文体が特徴。

2002年に会社を辞し、現在はフリーライター。商品開発、サイト作成、CD制作、講演、ラジオ出演など活動は多岐にわたる。全国やきとり連絡協議会内のやきとり文化研究所所長。

 

名古屋グル名人

東海エリア誌上初「焼き鳥」大特集!
名古屋の「食」と「文化」をディープにご案内。

・あなたは塩派?それともタレ派?
・感動の焼き鳥聖地巡礼
・焼き鳥文化大研究
・ココロに刺さった、この一串。
・地鶏銘柄鶏選手権名古屋場所
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