「自分の口に入れるものについて知る」ということ

「大切なのはトレーサビリティーです。自分の口に72時間以内に入るものが、どこで育てられたかをトレースできれば、かなり賢く食べることができると思うのですが…実際は、ほとんどマスクされていて知ることが難しくなっています。都合が悪いからという理由で。

日本人のほとんどが、自分が食べている肉がどういう状況で飼われていて、どのくらいの抗生剤や成長ホルモンを投与されているのか、野菜がどこで収穫され、ラウンドアップ(除草剤)がどのくらいの濃度でどれだけ使われているかなんて、知りませんよね。
でも、病気を予防するにはこれらを知ることが最も大事なのです。知識がなかったら体を守れない。

…あんまり暗くなる必要はないですよ(笑)。知識を持つ努力さえすれば、病気にならないための選択の道はあります」

人間の身体によいのは“自然の食べ物”だ。しかしそれが今、どんどん少なくなっている。お米に関しても、小麦と同じことが起きているとすれば、品種改良される以前の野生に近い品種に戻さなければいけないという。白澤先生は農家の人を直接指導するなど、そのための活動もされている。

「大正時代から昭和初期頃は、ちゃんとしたものを食べさせていたんです。給食も。日本の農業もいったんそこに戻さないと。やればできるんですよ、本当は」

原料の実体がわからない“安価な食べ物”を人々が選べば選ぶほど、安全性が不確かな“不自然な食べ物”が増えていく。現代の小麦は、こうした歪んだフードシステムの産物なのかもしれない。

私たちは脳や身体にとって“本当によい”食べ物を選び、昔ながらの自然の食べ物を取り戻していくべきだろう。そのためにももっと、食品や栄養についての正しい知識を得る努力をした方がよさそうだ。

 

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。

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