国家資格で新たな分野へ進みたいなら働き方を考えるべき?

行政書士・社会保険労務士・司法書士は通信教育でも人気の国家資格です。高度な資格ですが、「就職に有利で、自宅開業も夢ではない!」なんて謳い文句で宣伝されています。そのため、“通信教育を修了すれば簡単に取得できる”と勘違いしたり、“資格さえあれば、すぐに開業できる”、“難しい資格を取得すれば、圧倒的に就職に有利だ”などと勘違いして資格取得の勉強に励む人が多いのも現実です。

将来を考えて転職を考えている独身女性やブランクのある主婦が、就職のために国家資格を取得したのに、いざ就職をしようとすると経験のない資格が就職に不利に働くことも多いのです。

実は、企業の人事に「実務経験のない資格者は、頭でっかちになりがちで、無資格のベテラン社員が資格を持った新人の教育をするのを嫌がる傾向があり、役に立たないのに資格手当が要る」なんて偏見意識があることが多いのです。

実際に実務で求められる法的知識や法律事務は、試験問題に出てこない細かいケースも多いので人事の考えは強ち間違いとも言い難いのですが、お金も時間もかけて、一生懸命勉強して難関資格に合格したというのに、驚くばかりの現実です。

では実務経験を積むにはどうしたらよいのでしょう。資格者が開業している個人事務所の事務補助スタッフとして修業を積むのがお勧めです。
ライフスタイルによってお勧めの働き方があります。

・独身者(シングルマザー含む):資格を生業にした個人事務所や法人のアシスタント事務でフルタイム

・主婦(子供なし/子供あり):夫の扶養の範囲内で働きたい主婦の場合は、資格を生業にした個人事務所や法人のアシスタント事務職の短時間労働者の身分で、パートや派遣として働く

シングルマザーや子供のいない主婦という立場の女性は、フルタイムを希望する人が多いかもしれませんが、フルタイムの場合は、個人事務所は時期によっては忙しくて残業が非常に多いことを認識しておきましょう。21時を超える覚悟も必要です。

人事が認める実務経験は5年以上の経験ですから、個人事務所で実務経験を5年以上積んでから、希望する企業の正社員として新たに転職するのがお勧めです。

将来個人事務所を開業したい人は、修業中に自分の営業力を確認しましょう。一般的に個人事務所が軌道に乗るには3~5年かかります。そのうち2~3年は利益無しと覚悟してクライアント獲得に励む必要もあります。しかし、営業力があって、いったん事務所を軌道に乗せたら、やり方次第で仕事と家事や育児との両立が容易くなるというメリットは大きいですね。