4. 主人公は家庭に問題があり、子どもに冷たくされがち

そしてこういったアクション俳優のみなさんは生涯現役!とばかり今もアンチエイジングに活躍中。なのですが高齢化も進んでいるため、年相応に映画の中で家族問題が描かれることも少なくありません。

その場合、銃を持ったらスーパーマンでも、家庭においては肩身の狭い思いをしているケースがほとんどです。しかも離婚寸前、あるいはもうしてしまっていたり、「家庭に問題抱えがち」で「子どもに冷たくされがち」だったりします。
 

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前述のスタローンも「ロッキー」シリーズや「オーバー・ザ・トップ」では息子に真正面からぶつかり親子の絆を回復していましたが、近作「バレット」では年頃の娘に気が気でない様子でした。しかも、この手の娘は大抵美人と来ていますから、余計にお父さんをやきもきさせます(綺麗な娘に、お父さんやきもきしがち)。人気テレビシリーズ「24」でも、やっぱり親娘の関係は微妙な感じでした。

そしてやはり綺麗な娘というのは目につくのか標的にもなりやすく、当然「周りの人が巻き込まれがち」で「家族殺されがち」となる訳です。すると「続編作られがち」で新たなアクション映画を生み出す無限ループ構造となり、こうなるともう“あるある”が先か、アクション映画が先かという、鶏が先か卵が先か、みたいな話になってきます。
 

5.教訓が活かされず、似たような事件に巻き込まれてしまう

シリーズものでは特に「ダイ・ハード」シリーズに顕著ですが、「教訓が活かされず似たような事件に巻き込まれがち」というのもあります。

さて、ここまで見てきた“あるある”がふんだんに盛り込まれた作品が、最近ではリーアム・ニーソン扮する元CIA工作員が暴走オヤジと化し家族の救出に奔走する「96時間」シリーズです。まずこの「96時間」というのがそもそも邦題で、原題は「Taken」。

 

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訳すと「誘拐」といったところでしょうが同名の作品がありますし、「テイクン」とカタカナ訳ではよく分かりません。なので、本作では第1作で語られる“誘拐事件の被害者が無事でいると考えられる猶予期間”からタイトルが取られていて、「First Blood」→「ランボー」のように、とっつきやすい題名となったことでアクション映画ファン以外にも広くアピールするヒット作になったのだと考えられます。

よって「タイトル変えられがち」が当てはまりますが、これは成功例と言えるでしょう。

3部作のシリーズ中、第1作では娘、第2作では元妻と順にさらわれていて、「周りの人が巻き込まれがち」な点もばっちりふまえています。そしてここまで来るとイヤな予感がするものですが、やはり第3作の「96時間/レクイエム」では哀れ、この元妻が殺害されてしまいます(前作で頑張って救出したばかりなのに)。
 

「96時間/レクイエム」より
さらに他にも「家庭に問題抱えがち」「家族殺されがち」で「教訓が活かされず似たような事件に巻き込まれがち」「綺麗な娘にお父さんやきもきしがち」も踏まえている本シリーズは、もはや“あるある優等生”と言うことができるでしょう(笑)。

6.オープニングから大がかりな撮影でド迫力!

製作と脚本は「グラン・ブルー」や「レオン」でおなじみのリュック・ベッソンが担当しており、彼の作品によく見られる、舞台の街を大がかりに空撮でとらえたショット=“リュック・ベッソンあるある”もオープニングから炸裂しています。
 

「96時間/レクイエム」

7.忘れた頃に続編が帰ってくる

そして最後にもう一つ重要な“アクション映画あるある”である「忘れた頃に続編帰ってきがち」とばかり、今年は冒頭で挙げた様々な作品が夏に公開。

「96時間」シリーズも3部作で完結と思いきや、第3作で名優フォレスト・ウィティカー演じる刑事がリーアム・ニーソンと「ダイ・ハード」のマクレーン&パウエル巡査部長を思わせる関係を育んでいましたから、第4作にやぶさかでない感じです。

他にも「チャッピー」「ナイト・クローラー」「トゥモローランド」と、“あるある感”漂う話題作が公開待機中。

純粋にスペクタクルとして楽しむのはもちろん、こうした“あるある”的斜め目線で鑑賞しても、「いやぁ、映画って本当にいいものですね」と、きっと楽しむことができるでしょう。

『シベリア超特急2』に由来する名前は、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。これもかつて師事した故・石井輝男監督の作品をもじったコラム「直撃! シネマ地獄拳」で執筆を始めるも、その後徐々に映画から逸脱。イラストは芸人ネゴシックスの手によるもの。