「SNS」「ピアス」「フリーサイズ」「ホームページ」、この中にいくつ英語の言葉があると思いますか? 実はこれらはすべて英語ではなく和製英語! 英語圏では通じない単語です。
英語っぽいカタカナで表現され、元は英語か外来語だと勘違いしてしまう和製英語。日本人もどれが和製英語なのか気付かず使っているものが多いと思います。
そんな和製英語の面白さを、人気ブログ『アンちゃんから見るニッポン』で話題の言語学の先生、アン・クレシーニさんが書籍『ペットボトルは英語じゃないって知っとうと!?』で紹介。
200を超える実例を交えて、日本の日常に溢れている和製英語を解説しています。
日本人なら、まさかこの言葉も和製英語なの!? 英語圏で使ってないの!? という発見が満載!
「食べ物」や「ファッション」、「ビジネス」、「スポーツ」など、ジャンルごとに和製英語を集め、さらにその和製英語と同じ意味になる英単語も紹介。※SNSなら「social media」など英語での表現を併せて紹介しています。
英語がわからなくても楽しめるし、英文での使用例なども書いてあるので、英語の勉強にもなる1冊となっています。
海外に行った際に知らずに和製英語を使っていて、意味が通じない!なんてこともあるため、海外旅行前に読むのもオススメ。
今回は、著者のアンちゃんに和製英語の面白さ、興味を持ったきっかけなど、お話を伺いました。
マイカーなど「マイ~」とは英語で言わない
――本を読んで、マイカーなど「マイ~」とは英語で言わないというのが意外でした……!
アンちゃん:いろいろなカテゴリーの和製英語があるけれど、元々の言葉を省略しているものも多いよね。例えば「ボールペン」は「ボールポイントペン」の略とか。
「スマートフォン」は英語だけど、「スマホ」に略すと和製英語になる。そういうものはけっこう多いね。
――アンちゃんは日本には何年くらい住んでいるんですか?
アンちゃん:24歳のときから27歳まで神戸にいて、その後大学院に行くためにアメリカに帰ったけど、28歳くらいから今の北九州に16年住んでいます。あなたは英語は喋れますか?
――喋れません……、挫折してしまいました(笑)。
アンちゃん:英語は難しいよね~。いつもネイティブスピーカーで生まれてよかったと思ってる。英語が難しくて。
――英語を難しいと感じることがあるんですか?
アンちゃん:やっぱり文法と発音は特に日本人にとっては難しいと思う。日本語は漢字と敬語を除いたらそんなに難しくない。発音と文法は英語の方がよっぽど難しい!
単語数も英語はすごく多くて、日本語はそこまで多くない。ただ、日本語で話し言葉と書き言葉は全然違うでしょ?
私はふざけているような普通の博多弁でブログを書いているから、そんなに違う印象はないと思うけど。
――それがこうして本を出すまでになるとは!
アンちゃん:私はずっと英語のライティングが大好きで、英語の本は自費出版で何冊も出しているんだけど、日本語で文章を書けるとは思わなかったし、ずっと英語のブログを書いていた。
日本で出来た友達は英語がわからないから「ちょっと日本語で書いてみて」と言われて。「いや、無理だ。書けるわけなかろう」と最初は思っていたんだけど、でも書けた(笑)。
――英語のブログの時はどんな内容で書かれていたんですか?
アンちゃん:文化の違いとか、日本とアメリカの文化を比較するような今と大体同じようなこと。
私は文化の違いにすごく興味があって。でも、その時はあんまり日本の文化がわかっていなかったから、「なんでこんなわけわかんないことすると?」って批判的な目線の内容が多かった。
今はもうちょっと丸く書いているんじゃないかなと思う。
今は100%日本人のために書いているから、別に外国人が読めなくてもいいと思ってる。だって、日本の文化はこうだよ、と教えてくれる外国人向けの本はものすごくたくさんあるから。
それに、今までのエピソードや経験は変なことがたくさんあって友達に話すとみんな爆笑するから、これは絶対に書かないといけないと思った。
日本の「我慢」や「遠慮」、「迷惑」とかはアメリカと違う
――例えば、どんなことがあったんですか?
アンちゃん:病気は多くて、尿路結石には何回もなった(※結石は世界3大激痛の病気の1つと言われている)。それで、日本の我慢という概念について考え始めて。
「痛み止めをください」と言ったら、「癖になるからちょっと我慢してください」と言われて、「いや、癖になるわけなかろう、退院したら絶対手に入らんやん!」と思って。
先生にしつこく言ったらくれたんよね。だから、誰でもしつこく言ったら貰えるなと思って(笑)。なんでそんなに我慢するの?と疑問に思った。
そういう日本の文化に根付いている「我慢」や「遠慮」、「迷惑」とかはアメリカと違うから。私から見ると、日本人は「我慢」と「迷惑」の2つが一番大事にしていることだと思う。「絶対に周りに迷惑をかけないように!」と小さいときからずっと言われている。
アメリカ人もできるだけ迷惑をかけないようにとは思っているけど、日本人ほど悪いことだと捉えていないような気がする。そういう言葉と文化がどう繋がっているのか、すごく興味があった。
――日本人は自分たちが「迷惑をかけないようにしよう」と思っているから、周りの迷惑行為にも敏感になっているのかもしれないですね。
アンちゃん:そうね。だから、「我慢」や「迷惑」とか、「内(本音)」と「外(建前)」とか。日常生活から文化、宗教の違いなどずっと考えているけど、ネタはずっとなくならない。
最近書いた中では、「刹那的」という言葉が好きで、それもすごく日本的な言葉。普通の日本人はその概念は絶対にわかる。文化の違いを考えるのが好きで、「なぜ?」を私はいつも求めている。
――日本で生まれ育ったら気づけないことも多いと思います。
アンちゃん:あと、日本人は英語がわかっているから、なんとなく和製英語は発音とか意味が簡単にわかるんだけど、英語がわからない外国人からしたら、和製英語や外来語が全然わからないらしいよ。
私の日本人の友達の旦那さんは中国の人で、彼は全然英語がわからない。だから、彼の外来語や和製英語はいつもすごく可愛くて、「ペットボトル」じゃなくて「ピットバトル」とか言ってしまうの(笑)。
彼は、英語の「ボトル」という単語が元々わからないから頭の中で繋がっていない。でも、日本人はなんとなく「ボトル=Bottle」とわかっているから。
だから、奥さんである友達は、なるべく和製英語を使わないようにしないといけないと言っていたね。
私達は絶対に「So-so.」は言わないよ
――ブログで反響のあるものは?
アンちゃん:一番最初に和製英語のブログを勝間和代さんが知らせてくれたから、それが一番アクセスが多かった。
それは、私が好きなベスト10の和製英語をリストアップして、なぜそれが好きか理由を書いたもの。他にも、例えば日本人がよく間違える英語とか、英語の学習に関してのブログも人気があるよね。
私達は絶対に「So-so.」は言わないよ、とか。
――えっ!!! 「So-so.(まぁまぁ)」は言わないんですか!?
アンちゃん:ほら、ビックリするでしょ(笑)。これを言うと、日本人は相当ショックを受けるの。
私は1回も「So-so.」を言ったことはない。日本語の「ドンマイ」は「don't mind」じゃないよ、とか、日本人が勘違いをしているような言葉を紹介するのは人気がある。