「インターンシップ後に就労したママさんで週4の時短勤務だったのですが、ママならではの段取り力で、フルタイムで働いている人達とパフォーマンスが変わらないんです。その会社の社長さんが時給以外の給与体系も考えないと…と言い始めるほどに。
社長さん自身、そういう部分に気付けたことがすごく大きな変化だったそうです。さらには、周りの社員の方々も、そのママさんのスケジュール管理などを見習うようになり、インターンシップを迎え入れた会社にとっても色んな意味でプラスの効果となりました。」

このママさんほどのパフォーマンスを発揮できるかは分かりませんが、必要以上に肩身の狭い思いをする必要はなく、時短などの勤務体系でもそれを少しでもカバーするよう意識して仕事をこなせれば、多少は自信につながるのかな、と思います。

もちろん時短勤務や筆者のようなほぼ在宅勤務は同僚の協力あってこそですから、そこの感謝も常に持ち続けていることが前提だとは思っていますが。

ただ、これらはクラウドなどで仕事の共有がしやすいデスクワークや、勤務時間や場所の制限が比較的緩い仕事の場合の話。接客業など、時間も場所も限られてしまう職場でのママの復職に関しては、まだまだ手探り状態というのが現状です。

待つだけじゃダメ! がんばろうとする人ががんばれる社会へ

自身も2児の父親である、田代純一さん。

最近では、企業とコラボレーションしたプロジェクトを進めることも多いという日本財団。社会的なニーズと企業としてのニーズが一致して良いサービスや企画、商品が生まれることがあるそうで、その可能性は今後どんどん広がっていきそうです。

行政や民間企業に対して、もっとサービスを提供して欲しい、もっと暮らしやすい社会にして欲しい、と願うママは筆者を含め多くいると思います。

しかし、自らのニーズを発信したり、情報をしっかりキャッチしたりすることで、新たな道が開けることがあるかもしれません。ただ提供されるものを待つだけでなく、ニーズをつなげ合って少しずつ世の中を変えていくことができればいいですね。

これは、ママの働き方にも言えることではないでしょうか。

ただ行政や会社の制度が変わってくれることを待つだけでなく、“働くママ”としての意識や心構えを持つことも大切なのでは、と思います。

「ママプロとしては、“自らを律する人が、配慮ある環境で、活躍できる社会”を目指すという理念があって、周りが配慮ある環境を作るというのも大事だし、当事者自身が自らを律することも大事だと思っています。
がんばろうとしている人に対して、周りが合理的に配慮してがんばれる環境を作る社会になることが重要なのかな、と。
自分を律しようとしているママさんに何とかリーチして、アプローチできればと思っています。」

がんばるママに向けて、様々な取り組みを行っている日本財団。
今後は行政が構えるような“相談コーナー”ではなく、もっと気軽に利用できるようなリアルな場を作りたいという話も出ているようです。

一人で悩みを抱え込みがちな全国のママが、ふらりと立ち寄れるような場所や施設がいくつもできることを望みます。

 

田代純一さん:(日本財団 経営支援グループ 事業企画チーム )
“産み・育て・活躍しやすい社会”を次世代に繋げるためのプロジェクト、通称「ママプロ(ママの笑顔を増やすプロジェクト)」を担当。「ママカレッジ」やママ向けイベントである「ハッピーママフェスタ」のほか、サイバーエージェントなどと取り組む「ママ総研」といったママやその周りに向けたプロジェクトに多く携わる。

編集プロダクション株式会社イメージング・ワークス勤務。首都圏のおでかけ情報誌を中心に、雑誌の編集・ライティングを行う。2012年末に娘を出産し、人生観が約90度変わる。ライフワークバランスについてゆるりと考えつつ、子連れで行けるイベントや遊びスポットを日々模索中。