ライブやイベントが中心になる音楽業界の流れに
淘汰されたくない
――一緒に活動してみて、刺激を受けることはありましたか?
ぽこた:彼女は音大を出ているので、専門的な知識があるんですよ。そういうことについて正しいことがわかるのは大きいですね。僕は専門知識についてはよくわからないし、どちらかというとクリエイターやアーティストじゃなくて、営業マンなんですよ。拡声器みたいな感じです。せっかく作ったものがあっても、広めないと理解されないですから。
――エガマイヤーの魅力と、リノさんのすごさを“拡声器”で広める役割だと。
ぽこた:ま、言うほどすごいわけじゃないけど!
リノ:ちょっと!(笑)
――(笑)。リノさんはぽこたさんと一緒に音楽活動をして、いかがでしたか?
リノ:楽曲制作を一緒にやっている感じがありましたね。趣味に走りそうなときに「こっちのメロディーにした方がいいよ」とか助言をくれて、そうするとたいてい「おおっ!」って思えるものが出来上がるんです。それに、ぽこたを通じていろいろな出会いがあったのもよかったですね。動画を作ってくれる人や公式サイトを作ってくれる人と出会うことができました。
――そこから3年ほど活動した後、エガマイヤーはしばらく沈黙に入ります。
ぽこた:理由のひとつとして大きかったのは震災ですね。それまで走り続けてきたことが、あそこで一回パタッとストップした。それにニコ動も過渡期で、他にもやることがたくさんありましたから。そのあたりでリノも結婚したりして、お互いに環境が変化していた時期でした。
――約4年を経て再始動したわけですが、きっかけは何だったのでしょう。
ぽこた:僕が声をかけました。エガマイヤーはもっと前からずっとやりたいと思っていたんですが、純粋に忙しくて、なかなかきっかけがなかったんです。でも、やってほしいっていうファンの声はすごく多かったんですよ。
リノ:私にとっては、ありがたや~って感じですね(笑)。もちろん、ずっとやりたかったし、ひとりだとやる気が起きないんです。エガマイヤーの曲も作ったりしていたのですが、どうしても力が湧いてこない。だからって私の方からぽこたに連絡するとかはなかったんですけど。
ぽこた:リノは根っからのクリエイタータイプで、そういうことが苦手なんですよ。つまり、僕がやるか、やらないかなんです。
――多忙な中、エガマイヤーの再始動を決めた理由は?
ぽこた:もともと今年一年はものづくりの期間にしようと思っていました。これまでいろんなイベントで全国を周りましたが、忙しくて動画投稿もしていなかったんです。曲作りについても、「ROOT FIVE」の場合はkoma'nが作るし、自分のソロも他の人が書いた曲になることが多い。
今年はそうじゃなく、ちゃんと自分で完パケまでいこうと。そのためにはボカロの歌も投稿するし、ソロもやる。もちろん、エガマイヤーもやる。それくらいやらないと、ファンに対して返しきれてないなと思ったんですね。
――一度、原点に戻ってみるということですね。
ぽこた:そうですね。ニコ動に動画を投稿していた最初の頃は、歌を作ったり、それを聴いてもらったりするのが楽しかったわけです。それがだんだんと変わってきて、音楽業界全体がそうですけど、どうしてもライブやイベントが中心になっていく。それで淘汰されたくないという気持ちもあります。エガマイヤーはふたりでやっているユニットなので、自分たちの意思で自由が利きますし、もう一度、曲を作って皆に聴いてもらって、それからライブで盛り上がるという原点を見つめなおそうと考えています。