本音を言えないから、迷ったりもする

――親しい人間に対して感情をぶつけることで、本当の家族の絆が生まれていくというメッセージも感じました。お二人は物語についてどんなふうに感じられましたか?

竹内:確かにそうですね。最後にライリーが、「お願い、怒らないで」とお父さんやお母さんに言いますが、あそこで自分の思いをやっと全部吐き出すんです。そしたらお父さんは怒りではなく、違う気持ちでライリーを受け止めますよね。確かに本音を言うことは大事だなと思いました。

でも、本音を言うことは難しいから、ああやって迷ったりもするんですよね。それはそれで彼女の成長だったりもするのかなと。嫌なことは嫌だと言っていた三歳児や四歳児ではなく、お父さんたちの気持ちもわかるようになってきたから、ライリーも我慢をしていて、そのことで無理が出たんだなと。私も気をつけなくちゃいけないなと思いました。

感情がすけて見えるのならありがたいけど、それができないから、家族で話し合いの場を設けることは必要なことですよね。友人関係もそうですが、近ければ近い関係であるほど、密な話をする機会を忘れがちですから。

大竹:相手の気持がわかるから余計にそう思うよね。わからなければ別だけど。

竹内:わかっているつもりでいたから、大事なことを見逃したり、聞き逃したりしちゃうかもしれない。なんだか心配になってきちゃった。私は大丈夫かなと。

大竹:大丈夫、大丈夫(笑)。私もいろんなことを思いました。子どもを育てていく上で、もしかして、言ってなかったこともいっぱいあったんだろうなと。うちは二人共もう大きいけど、通りすぎてみるとそのことがわかりますね。私自身も言えなかったこともあるから、結子ちゃんが言ったみたいに、正直に向かい合う時間が必要かなと思います。

でも、なかなか親子で向かい合うということができなくて。だからごはんを一緒に食べるとか、そういうことだけでも大事な時間だったなと、今改めて振り返ると思います。何でもない時間が実はとっても大切な時間なんですよね。