【母乳110番】の現場からお伝えしている育児相談シリーズ、今回から「よくある質問」特集がスタート!初回テーマは「母乳とミルク、どちらがいい?」
【母乳110番】代表で『おっぱいとだっこ』など多くの著書もある竹中恭子さんが優しく分かりやすく回答します。
母乳VSミルク!ベストあるいはベターな選択はどっち?
――前回のインタビューでは【母乳110番】を始められた経緯や「検索地獄から抜け出すためには?」等についてお伺いしましたが、今回はズバリ「母乳とミルク、どちらがいい?」ママたち最大の関心事ともいえる、この問題について教えてください!
竹中恭子さん(以下、竹中):では、ズバリお答えしましょう。
どっちでもいいのよ(笑)
――え、どっちでもいいんですか。かなり拍子抜けなんですけど。
竹中:これ言う人って、あんまりいないでしょう?
「ミルクでも母乳でもどっちでもいいんじゃない?」っていうのが、いわゆる“母乳神話”に対する、ひとつの答えなのだと思いますよ。
【母乳110番】への相談でも、ものすごく遠慮がちに「実はミルクもあげているんですが」と言われるママが少なくありません。「私も混合でしたよ」と声をかけると、電話の向こうでホッとしたような様子をされるんですね。
私も2人目の子は混合で育てました。家の事情で3カ月から預けて働いていましたし、おっぱいが切れたり詰まったりのトラブルも多くて、ミルクにずいぶん助けてもらいました。
【母乳110番】なんてやっていると“母乳主義”みたいに思われたり「ミルクは絶対ダメなんですよね?」なんて誤解されることも多いんですけど。
双子のお子さんを育てたママが、長男は母乳だけで、次男はミルクだけで育てたというお話を聞いたことがあります。
でもそれで次男クンの方が風邪を引きやすかったかというと、双子のひとりが風邪を引いたらもう一方も引くし、同じ保育園に預けたら同じように病気はもらってくるし、どっちかが太ったり、どっちかが背が高くなったりなんて、全然なかったそうですよ。
だって考えてもみてください。大人になって「あなた、ミルクで育ったでしょ」なんて言われることありますか?例えば食事の様子や体格を見て「あなた、母乳育ちですね」とか「ミルクでしたね」とか(笑)
――たしかに(笑)
竹中:ご相談いただいたなかには、母乳だから良かったともいえない例もあります。
アッ!よく母乳育児の「デメリット」にあげられる、ダイオキシンなどの化学物質が母乳に濃縮されて云々というのではありません。それを言うなら、ミルクの主な原料になっている牛のおっぱいだって同じはずですから。
あるママが、お子さんがアレルギーだったこともあって「母乳育児を完璧にやりたい!」と頑張っていらしたんですね。
よく「目を見て授乳して」なんて言われますが、年がら年中ジーッと見ているワケにもいかないし(笑)、何かしながらということだってアリだと私は思います。日常生活はそれで全然構わないと思うんですが、でもこのママは、それとも違ってですね。
一切お子さんと目を合わせないで、「私はあなたに母乳をあげなければならないせいで、仕事もできない、アレもできなかった、コレもできなかった」って、授乳中ずーっとしゃべっていたのです。
赤ちゃんは、おっぱいの度に延々とそれを聞かされているわけで・・・これは辛いですよ。
母乳育児と復職については両立できるすべもあるのですが、このママは知らなかったのね。その方法についてはまた回をあらためてお話しますけれども、こんな風にママが精神的に追い詰められてしまうなら「母乳ならOK」とは言えませんよね。
――では具体的に、母乳とミルクそれぞれの「メリット」と「デメリット」は?
竹中:例えばミルクは、赤ちゃんを預けやすいし、預かる方の身からしても時間が測れて預かりやすい、そんな「メリット」がありますよね。
母乳は、何といっても母子がお互いにラクということです。だってお弁当と水筒の機能が身体にくっ付いているわけですから。しかもちょうどいい温度で出てくる(笑)
母乳育児には「これを知っていたらもっとラクだったのに」というポイントがたくさんあります。そのポイントは次回以降お伝えしてゆきますし【母乳110番】のサイトからも「『母乳だと楽!』な12の理由」というイラスト付きガイドをダウンロードいただけますけれども、軌道に乗ればママがラクというのが最大の「メリット」といえると思います。
そしてもうひとつ、母乳の重要な「メリット」を挙げるとしたら、社会としての「防災」でしょうか。災害があった時、母乳育児を継続する人がひとりでも増えることで、ミルクやお湯等の物資が、必要とする人に行き渡りやすくなる。これはものすごく意義のあることだと思うので「防災」のためにも、母乳育児を望むママがひとりでも多くおっぱいを続けてゆけたらいいな、と思っています。
【母乳110番】のトップページから、災害時の母乳育児についてまとめたイラストガイドもダウンロードできます。外国語にも翻訳されていますから、ぜひいろんなママに読んでいただいて、来るべき災害に備えていただきたいですね。
なんてこうやってお話してくると「じゃあ『デメリット』は?」となるんですが・・・