疲れた身体に優しい作品、ほっこりと楽しめます!
『ワカコ酒』

『てーきゅう』がスピード感を追求したアニメならば、この『ワカコ酒』は、その反対にまったり、ゆったりとした空気感を味わうショートアニメです。

原作となっている新久千映さんの漫画は、『孤独のグルメ』や『めしばな刑事タチバナ』といったコアなファンを持ち、今や漫画界で一つのジャンルを築いているといっても過言ではない「食べ物にまつわる"語り"をふんだんに盛り込んだB級グルメ漫画」の系譜にあたる作品。

居酒屋での一人飲みをこよなく愛するOLのワカコが、その日の肴に対する感想を情愛たっぷりに心の中で独りごちる姿が非常に可愛らしく、またお酒が好きな方ならば心から共感できる漫画となっています。

そんな『ワカコ酒』のアニメ版は、原作の雰囲気が非常に上手く再現されています。また、時間が短いからこそ、その作画描写はミッチリと濃縮されており、視覚的にも見どころタップリ。艷やかで美味しそうな料理の描写や、大人の社交場である居酒屋店内の様子、本作の最大の肝であるワカコのリアクションなどは、"アニメ"として非常に完成度が高いです。

更に、ワカコを演じる人気声優、沢城みゆきさんの演技も素晴らしい。様々な役柄を演じられている沢城さんですが、ワカコ役でのお酒とオツマミを愛するOL役もピタリとハマっています。

台詞は、ほとんど沢城さんのモノローグで展開され、非常にミニマムな構成ですが、だからこそ、酒飲みの情感がストレートに伝わってくる辺りも、ショートアニメという表現形式が凄く合っているのだなぁ、と思わされます。

ショートアニメの魅力の一つに、忙しい時、時間が無い時でも気軽に観ることができるという点が挙げられると思うのですが、慌ただしい毎日を過ごす社会人の皆さんにこそオススメしたい作品です。

本作を観て癒され、劇中のワカコの如く、"プシュー"っと日頃のストレスを解消しましょう!

セガファンならば懐かしさと大笑い必至です!
『Hi☆sChoool! セハガール』

続いて紹介するのが、『Hi☆sChoool! セハガール』。本作は、セガの歴代ゲームハードを美少女化するメディアミックスプロジェクト、「セガ・ハード・ガールズ」のアニメ版です。

主役となるのは、とことん天然でボケ役のドリキャス、マイペースでクール系のメガドラ、そして、唯一のツッコミ役で気苦労が絶えないサターンという三つのゲーム機……否、三人の女の娘。この三人が入学した謎だらけの学校、セハガガ学園を舞台に超個性的な授業の数々に挑む姿を描いています。

劇中には、セガにまつわるネタの数々がタップリと散りばめられ、かつてセガハードユーザーだった方ならばツボに入ること間違いなし!

メーカー公認の二次創作作品とでもいうべき作品であり、セガがリリースしてきた名作ゲームのキャラクターたちがエピソード毎に次々に登場するのも楽しいポイントです。

セガキャラクターによるオールスター戦の様相も呈しており、ファンならば懐かしさにタップリと浸れると共に、各キャラクターが繰り出すナンセンスな言動に大いに笑わされることになるでしょう。

3D CGを駆使した本作を作ったのは、同じく3D CGのショートアニメ作品である『gdgd妖精s』で知られる菅原そうたさん。

余談ですが、菅原さんは、ロックバンドB-DASHのメンバーであるGONGONさんの実弟であり、かつては、毒とエッジの効きまくった漫画『みんなのトニオちゃん』を『SPA!』誌上で連載されていたクリエイターさんです。

B-DASHのPVも手掛けている菅原監督ですが、そうした出自もあってか『Hi☆sChoool! セハガール』もアナーキーで、ちょっと毒っ気のあるギャグが良いアクセントとなっており、非常におもしろいコメディ作品となっています。

ロックファンにも観ていただきたいショートアニメですよ!