ワンオペ主夫作家だからこそ書けた?着想は息子が通う保育園のパパ友から!
ワイドショー等にも多々出演する売れっ子タレント弁護士・三輪記子さんをパートナーに、3歳の息子さんをほぼワンオペで育てている作家・樋口毅宏さん。
男のセキララ育児日記『おっぱいがほしい!』の衝撃から約1年半、今度は保育園のパパ友同士の恋愛を描く『東京パパ友ラブストーリー』を出版されました。
――“パパ×パパ”カップルが主人公の物語を書こうと思ったきっかけは?
樋口毅宏さん(以下、樋口):妻の仕事の関係で息子が1歳になるくらいまで、生まれ育った東京を離れて家族3人、京都に住んでいたんですけど、なじみの友人・知人が誰一人いない環境の中で、割と仲のいいパパ友ができたんですよ。
同じ保育園に通っている1歳上のお子さんがいるパパで、よく送り迎えで一緒になって。そちらのお宅のママは、大学教授で。
うちの妻も弁護士をやっていて相当強いんですけど、その妻が「彼女には私も負けるでしょ!彼女がパートナーだったら、もう居たたまれないでしょ?」っていうくらい強~ッい方で。
それで、彼に親近感を覚えていたんですね。
――樋口さんが、ですか?
樋口:いや、お互いに?「俺たち大変だよなぁ、うんうん」みたいな。
彼自身はフランスに10年もいらした方でフランス語もペラペラで、いわゆるエリート夫婦なんですけど、彼のことは自分も「ひとりの男として、人間としてすごいなぁ、頭いいなぁ、大したもんだなぁ」と思ったりしていて。
それで作家というのは、良からぬ想像を働かせる人種だもんですから。
もしこの人と、強い妻を持つ者同士で、一線を越えるようなことがあったら、それはおもしろいな、ほんっとおもしろいなって思ったんですよ。
――『東京パパ友ラブストーリー』の主人公ふたりも、家事育児をすべてこなしながら自宅で仕事をする建築家の“おっさん”と、ファンドマネジメント会社の若きCEOですよね・・・
樋口:“おっさん”の方は自分の経験を下敷きにしている部分はありますが、彼についてはエピソードだとか、ルックスとかも、何も借りてはいないんですけどね。
彼とは、ふたりで飲んだことも別にないですし。
そんな自由時間は、そんな高尚なものは、僕ら、与えられていないんで!
でもその方もほんと優しくて、おとなしい方で、パートナーが攻撃型。こちらが1つ返そうものならカウンター食らうよっていう、僕ら、サンドバッグ状態?
妻が“猛禽類”タイプ、とでもいうのかな。
――妻が“猛禽類”ですか・・・
樋口:そう、“猛禽類妻”。
それでお互い虐げられた夫同士、買い出しも掃除・洗濯も全部やる者同士の親近感がありましたね。
――ところでこのお話、公表しちゃってもいいんでしょうか・・・
樋口:全然、大丈夫。
――『東京パパ友ラブストーリー』が、やたらリアルだったワケが分かりました(笑)
ちょっぴりだけネタバレすると、恋に落ちた“おっさん”と青年実業家は子どもの通う保育園の“パパ友”として出会うワケですが、それぞれタレント議員として社会的にも成功している妻と、女はかわいらしくあれと育てられ、理想の家庭を死に物狂いで守ろうとする専業主婦の妻がいます。
女性としては、彼女たちの心に潜む影というか、押し込められてきた葛藤のようなものに、やるせなさを感じることも多かったのですが。
樋口:「女性のほうが大変だなー」と思いますよ。
子育てしてみて実感しましたが、その最たるものが“母性信仰”なんじゃないですかね。