僕は「アンチ・アンチエイジング」なので、自然の成すがままです
――これまで何度かソロのサポートをされていた咲人(NIGHTMARE・JAKIGAN MEISTER)さんも3曲ほど参加されています。
MORRIE:咲人にも弾いてもらってるね。『DANGER GAME』は彼がほぼ全編ギターを弾いていて、『Crusader』と『Angelic Night』は役割を決めて僕と半々。多才な男ですよね、僕はすごく彼のことを買っています。
これはいろんな場所で喋ってるこれど、本気になったら、咲人は音で殺せるタイプのギタリストのひとりですね。底力がある。音で殺す時に殺せるヤツじゃないとダメなんです。
ここが重要で、「上手い人」はたくさんいるけれど、その底力があるかないか。バンドはそういう人たちの集合体であるというのが理想で、最近そういう人は減っているのかな。
――そういえば、先日のライブでMORRIEさんは「還暦まではやりたい」という趣旨のことをおっしゃっていました。「いま、ここ」ではなく、未来について話しているのは珍しいような気がしたんです。
MORRIE:還暦どころかもっとやりますけどね(笑)。なんだろう、一時期「アンチエイジング」なんて言葉もありましたけど、僕は「アンチ・アンチエイジング」なんで。自然の成すがままです。
肉体はやがて朽ちていくもの、自然の法則です。自然に逆らうのは不幸なことですよ。もちろん、できるだけ長く歌っていきたいとは思っていますけど。あんまり未来のことは考えてないので、やってたらやってるでしょうし、やってなかったらやってない。歌える状況があり、肉体が歌える限り、歌うんじゃないでしょうか。
若い頃は年をとりたくて仕方なかった。自分も周りもガキくさくてね。年を重ねていくに従って、若い頃に比べたらパワーやスピード落ちるのは決まってるけれど、魂は成熟し深みを増す一方なんで。大事なのはここなんですよ。
ハイデカーに「時熟」という概念がありますが、時間をかけて、色々なことを経験していくと、魂が熟していく。それがもう、楽しくてしょうがないんですよね。
僕くらいの年齢になると、「肉体の死」は射程に入ってくる。「死」はどこにもないけど。単純に肉体は老いていくからね、ずっと元気でやれるとは限らない。そして、魂は熟してゆく。悦ばしいのは、その味わい深さで、そういうところから、音楽をやりたいと思うからね。
「あんなのやりたい」「こんなのやりたい」といった具体的なものではなく、音楽を超えた真理のようなものを込められるかどうかなんです。
(取材協力・永田希)
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