世の常識と思われていることが実は非常識であることがあります。
実は“漢字の方がひらがなよりも易しい”こともその一つです。
地球が太陽の周りを回っている地動説を唱えたガリレオは迫害を受け裁判にかけられました。彼の死後、これが認められ今では当たり前のこととなっています。これと同じです。
『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がお話ししたいと思います。
実験してみよう!
さて、次の4種類の文字、どれが子どもにとって易しくてどれが難しいでしょうか。
2歳の文字を全く読めない子どもたちを集めて実験しました。
あ・中・虫・蟻
一人の例外もなく、「蟻」の漢字を先に覚えます。
よく考えてみればわかりますよね。
「ひらがな」は表音文字、つまり一字一字音を表すだけで意味そのものを表していない単なる記号だからです。
「あ」と見せられても色もなければ形もない、何か具体的に頭に浮かぶものではありません。だから、覚えにくいのです。
これに対して漢字は表意文字、意味のある文字です。
「蟻」と見ると、子どもは頭の中に実物のあの黒くて小さい「蟻」を想像し簡単に覚えてしまいます。
同じ漢字でも「中」はどうでしょう。
画数は少ないので小学1年生で習いますが「コップの中」「部屋の中」と掴みどころがありません。
小学校1年生で習う「上」「下」「左」「右」などの抽象的な概念を表す漢字は覚えにくいのです。
「虫」はどうでしょう。
「中」よりはイメージが湧きますが、「虫」という名前の虫は存在しませんから「蟻」のようにパッとイメージできないのです。
ですから「蟻」の漢字を先に覚えるのは自然のことなのです。