「ひらがな」を覚えられなかったダウン症の子
筆者は長年、障がい児の指導にも携わっていますが、以前一人のダウン症の子どもを指導していました。6歳から24歳になるまで関わりました。
「蜜柑」「葡萄」「卵」「餃子」「牛乳」「焼肉」「象」「猫」「冷蔵庫」「風呂」の漢字は驚くほどよく覚えました。
しかし、漢字は何百字と記憶しているのに対して、意味のない記号のひらがなは成人しても覚えることができませんでした。
障害がある子どもを相手に指導すると何が易しくて、何が難しいのかが手に取るようによくわかります。
健常児は漢字もひらがなも同じようによく覚えるので、どちらが易しく、どちらが難しいのか大人には正しく把握できないのです。
こうして間違った固定観念が植え付けられるのですね。
幼稚園の子どもの名前は「ひらがな」でいいのか
「幼児は漢字が読めないだろう」の先入観から、子どもの名前をひらがなで下駄箱に書いている園、更に「ひらがなもまだ無理だろう」と健ちゃんは車、綾ちゃんはイチゴなどのシールを貼っている園もあります。
でも、これを漢字にすれば自分の場所が瞬時にわかります。ついでにお友達の名前も漢字であっという間に覚えてしまいます。
道路標識は何故「漢字」なのか
日本に高速道路が初めて作られる時、道路標識の文字を何にするか実験が行われました。
高速道路上では運転するドライバーが瞬時に標識に書かれている言葉を読み取らなくてはならないため、人間が一番速く読み取れる文字を使う必要がありました。
ローマ字・・・1.5秒
ひらがな・・・0.7秒
漢字・・・0.06秒
の結果が出ました。
ですから道路標識は漢字で書かれているわけです。
電車の吊革につかまっていて目に飛び込んでくる広告の漢字や「新宿」「渋谷」の行先も、読もうと意識しなくても見ているだけで一瞬でわかりますよね。
これも同じことです。
書くことと読むこと
書くことと読むことをごっちゃにしているので「漢字は難しい」となるんですね。
でも、
薔薇、鬱、麻雀、挨拶、葡萄、推薦図書…
読めないと恥ずかしいこともありますが、長い人生の中で専門の仕事に就かなければ書くことはほとんどない漢字です。
そして、幼いころは書くことよりも本をスラスラ読めることの方が大事です。
今持っている常識の枠を外すことで真実が見えてくることがありますよ。
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【実験してみよう】「あ・中・虫・蟻」一番に覚えられるのはどれ?(2歳〜)