――今年はスイスとフランスの、所謂「ジャパンカルチャーコンベンション」のようなイベントに招待されてライブを行ったそうですが、いかがでしたか。
RYO:SUKE:僕的に行ってみて、楽しかったしすごく嬉しかったし、ヨーロッパ人は感情をむき出しにする民族なのでライブも反応がいいし、満足度は高かったんですけど、思うこともありました。
日本文化の祭典である「ジャパンフェス」っていうものを楽しみにきている、いわゆる向こうの「オタク」の人々がたくさんいて。だけどヴィジュアル系のブースを出している人もいなければ、ヴィジュアル系のコスプレもほとんどいないんです。
それで僕は池袋のアニメイトに行った時と同じ悔しさを覚えたんです。
――と、言いますと?
RYO:SUKE:今ってもはやヴィジュアル系よりも『うたプリ』の方が夢があるって多くの人が思ってませんか?スイスでも池袋でも壁一面に二次元の綺麗な男の子が並んでて、作品の世界観を表すアートワークがバーンっと載ってて。
――そういうのってある意味ヴィジュアル系の売りのひとつだったはずなんですよね。
RYO:SUKEさんが「夢」という言葉を使ったのは、V系ファンもアニメファンも夢中になるというのが基本で、今のヴィジュアル系は夢を見ることがないと?
RYO:SUKE:過去に比べて、そう思ってます。
これって、なぜそうなったか僕なりに考えた時に、かけるコストの差なんですよね。
要は、ヴィジュアル系のアーティストと、アニメのキャラクターがいる。双方とも「キャラクタービジネス」とするのであれば、アー写もイラストも同じ意味を持ちますよね。そして人前に出る上で、「ライブをします!」というときに、曲を作るときに、アニメの場合は専門の作曲家さんがつくわけじゃないですか。歌はプロの声優さんがつく。
その一方でヴィジュアル系のアーティストはそれを全部自分でやることになるじゃないですか。曲作り、ライブ、インストアetc…。
――とくに関わっている人数の少ないであろうインディーズのヴィジュアル系ってひとり頭のコストが高いようには見えますね。そもそもの規模が違うから比べてはいけないのかもしれないですけど。
RYO:SUKE:そもそものトータルのパラメーターが違い過ぎますよ。だからもう、ヴィジュアル系にしかできないことを追求するしかないと思うんです。
――それって何だと思いますか?
RYO:SUKE:やっぱりヴィジュアル系にしか表現できない世界観なんじゃないですか。「非現実」的な、別の言い方をするならば「ハレ(非日常)」と「ケ(日常)」があるわけで、我々の仕事は「ハレ」を作ることなんです。
でも今って「ケ」ばっかりじゃないですか。
――たしかに以前と比べてSNSなどでミュージシャンの日常が見えやすくなっていたりしますもんね。
RYO:SUKE:だから『うたプリ』に負けるんですよ。あっちは「ハレ」しかないですからね。ブログやSNSもそうだし、インストアイベントやチェキっていうのもそもそも「ハレ」の存在がちょっと「ケ」を出すから珍しいしありがたがられたわけじゃないですか。
――チェキは「ケ」って名言ですね(笑)。
RYO:SUKE:だから構造的に無理が来てるんですよ。
――当事者から言われてしまうと説得力が…。