平成の時代から「令和」の時代へと変わった日本。これまで以上に、多様な生き方や価値観が尊重される時代へと進化していくと確信しています。

それは、「結婚観」も然り。

最近では、さまざまな新しい“夫婦のカタチ”が認識されてきています。「事実婚」や「別居婚」「週末婚」など。

そこで今回は、『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』『心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK』の著者であり、夫婦問題カウンセラーの高草木陽光が、そんな新しい夫婦のカタチをつくり上げて、仕事もプライベートも充実している2名の女性をご紹介します。

ひとりめは、お互いに初婚同士で事実婚をしたA子さん。2人めは、別居婚をしているB子さんです。

「事実婚」とは、婚姻届を提出しないで、事実上の婚姻生活を営む結婚の形態です。

「別居婚」とは、婚姻届は提出しているが、別々に暮らす選択をした結婚の形態です。

A子さん(38歳)が、A男さん(35歳)との事実婚を選択した理由

大学を卒業してから、これまでアパレルメーカーでバリバリ仕事をしてきたA子さん。真剣に結婚を考える男性もいました。

しかし、A子さんが思う“結婚観”に共感してくれる男性はいたものの、真剣に“自分ごと”として考えてくれる男性には巡り合うことはありませんでした。

A子さんの結婚観とは以下のようなものでした。

  • 結婚によって、思い入れのある自分の苗字を変えたくない
  • 法律婚によって規制される夫婦のカタチに囚われたくない
  • お互いに自立した関係でありたい
  • お互いが愛し合っていれば法律婚にこだわる必要はないのでは?

「結婚はしたいけれど、それによって自分の苗字を変えなくてはいけないということに、とても抵抗を感じました。なんというか、自分のアイデンティティのようなものが失われてしまう怖さがあったんです。

今までお付き合いした男性の中には、私の苗字に変えてもいいと言ってくれた人もいたんですが、そういうことだけじゃなくて……お互いに自立した関係でいられる結婚でなければ、相手を傷つけてしまうだけかなと思いました。」

このように思っていたA子さんに、転機が訪れます。

「私が、時々会っている気の知れた仲間同士の食事会があるんだけれど来ない?」と、職場の同僚に誘われたのです。

あまり気乗りはしなかったというA子さんですが、気分転換にと思って参加したその会に同席していたのが現在の夫、A男さんでした。

たまたま隣の席だったため、仕事のことや好きなアーティストのこと、今まで行ったことがある海外の話などで盛り上がり、久しぶりに楽しい夜を過ごすことができたのです。

その日をきっかけに、ふたりは連絡を取り合うようになり、いつの間にか互いの結婚観についても話し合う関係に進展していきました。

A男さんは、A子さんの結婚観に真剣に向き合ってくれた初めての男性でした。

以前から、法律婚にまったく魅力を感じず「もっと自由な結婚があってもいいはずだ」と思っていたというA男さん。

ふたりが「事実婚」という結婚のカタチを選択したのは、何も不思議ではない自然の流れだったのです。

「住民票に、”妻(届)”と記載したときは不思議な感じがしました。法律婚ではないので、今後もっと具体的に決めたほうがいいと思っている事柄もあります。少しずつ夫と決めていきたいと思います」。

そう言うA子さんは、今この場にいる誰よりも輝いて見えました。