共感の苦手な夫へのお願い

目を離したすきに、子どもがハサミで自分の髪をジョキジョキ切ってしまった! ケガはないものの、かなり短い部分もあり、外に連れていくのもはばかられる。

帰宅した夫にこの話をしたところ、美容院に行くお金だけをくれて、さっさと寝てしまったというママがいました。

彼女のなかには不安や後悔、そして罪悪感がさぞかし渦めいていたことでしょう。それらは夫によって軽減されることなく、放置されてしまったのです。

「女性脳は水や空気のように共感を欲している」と黒川さんは言います。この夫のとった行動は共感からはほど遠いものだったばかりでなく、妻の方はこのことを何年経っても忘れることはないでしょう。

男性の多くは、共感することが苦手です。思いやりがないわけではなく、愛しているからこそ、なにか言ってあげたくなってしまうのでしょう。

ですが、だからこそ、日ごろから夫に共感の大切さを伝え、ときに「何も言わずに話を聞いてほしい」と伝え、話を聞いてもらう習慣をつけてもらうことをおすすめします。

夫の「ぼうっと」時間を尊重してあげる

休日の朝、夫が起きてもパジャマのまま、なにもせずにぼうっとしているのを見たことはありませんか? あれは、なにもしていないように見えて、「脳内で空間認識の領域を最大限に活性化して、精査している状態」なのだそう。

家にいると、一時も休むことなく働いてしまう女性は、つい、「どうしてなにもやらないの?」といらだってしまうかもしれませんが、そこはおさえて、おさえて。

あのぼうっとしている時間があるからこそ、いざというときに男性脳は役に立つのだと知っていれば、多少の「ぼうっと」は許せるかもしれません。

家庭内にも多様性を

よく、多様性のある社会を、という言葉を聞くようになりましたが、男女脳の違いを認めるということは、家庭内にも多様性が必要ということなのだと思います。

子育ては夫婦二人ですることには変わりありませんが、それはパパにママとまったく同じことを同じ風にできるようになってもらうことを意味しません。

パパにはパパにしかできないことがあります。子どももそうですが、欠点を直すよりも長所を伸ばした方が、能力は伸びますよね。

夫婦が違うことで生まれる利点は他にもあります。子どもがいたずらをしたとき、夫婦そろって叱るよりも、どちらかは怒らずにいてあげられると、子どもはそれほど追い詰められません。

まずは男女脳の違いをきちんと押さえたい、という方は、ぜひ黒川さんの著書をお手に取ってみてくださいね。

<参照>厚生労働省 平成 30 年(2018) 人口動態統計の年間推計