出生前診断ではわからない障害も
もう一つ問題点があります。
それは、13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー(ダウン症候群)・二分脊椎・特定の遺伝性疾患 などの一部の障害しか判明しないということ、星の数ほどある障害の中の一部しか見つけられないということです。
つまり、この検査で”お腹の子どもには100%障害がありません“という訳ではないのです。
視覚障害や聴覚障害、人口の6%を占めるといわれている自閉症などの発達障害はわかりません。
これらがないとしても、出産時のトラブルで脳性麻痺、また、生まれてから高熱を出し脳にダメージを受けることもあります。
ということは “染色体異常など出生前診断でわからない障害児”であれば受け入れて育てる決心も同時にしなくてはならないのです。
子どもが生まれた後“自閉症”であると知って、子育てを放棄できません。出生前診断のように中絶して命を絶つことは許されないからです。
実際に、検査を経て出産するまで
「悶々と妊娠期間を過ごしたくない!」
私は今から15年前、不妊治療を受けていました。高齢出産であったため、軽い気持ちでトリプルマーカーテストという出生前診断を受けました。
病院にポスターが貼ってあるのを目にして、10ヶ月の妊娠期間悶々と過ごしたくはなかった気持ちが正直あり、安易な考えで受けました。
トリプルマーカーテストは母体の血液をとって行う簡単なもの、今の新型出生前診断と異なり正確な結果がでるものではなく染色体異常の胎児であるかどうかの確率がパーセンテージで示されるだけのものでした。
ここで高いパーセンテージだった場合、母体の子宮内の羊水に浮かんでいる胎児の細胞の染色体を調べる“羊水検査”に進むというものでした。
「ダウン症」の可能性が出てから羊水検査まで
採血の結果「お腹の胎児はダウン症候群の確率が80%です」と診察室で言われました。
「折角、不妊治療して妊娠できたのに…何で…」と奈落の底に突き落とされました。足元がフラフラしてしまい、頭の血液が全て身体の下に行きジンジンし、どうやって家に帰ったか覚えていません。
そして、医師から精密検査を受けるために大きな病院の紹介状をもらい5日後に入院して羊水検査を受けました。
子宮に長い注射針を差し羊水を吸引する(羊水穿刺)ため、流産の危険がある検査でしたので、障がい児ではなくてもそこで子どもを失ってしまうリスクがありました。
それでも不安を払拭したい一心で臨みました。