それでは、驚きの研究結果を発表します。
イギリスの学生はこう語ったと言います。
「空っぽ。むなしさに押しつぶされるようでした」。
中国の学生はこう語りました。
「心に何の感情も湧かなかった……大切なものを失った気がした」。
ウガンダではこう。
「とても孤独でした」。
メキシコでは。
「その日はずっと不安だった。誘拐から地球外生物の侵略まで、あらゆるシナリオが頭に浮かんだ」
アメリカでは。
「完全にパニック状態」「まるで拷問されているような気分」。
ある学生は「これらがない生活なんてありえない、無意味だという気がした。中毒になっているのはわかっているけれど、恥ずかしいとは思わない」とふり返っています。
“中毒”の怖さ
筆者もスマホを家に忘れた時には、大切な連絡が来ないようにとそわそわすることがありますが、彼ら学生のリアクションはもはや中毒といっても良いほどの執着といえます。
インターネット中毒と薬物中毒には共通点がかなり多く見られるという証拠も多いと、同書で紹介されています。
「行動を秘密にする、噓をつく、日常生活がおざなりになる、社会的に孤立する、といった隠れドラッグ中毒者に見られる行動の多くが、インターネット中毒者にも見られる。脳画像研究でも、共通点が多く見つかってきている」(同書より)
子どもたちのIT機器との密接な関係を心配しているのはこの人も同じでした。アップル社の共同設立者の一人であったステーブ・ジョブスさんです。
ジョブスさんは様々な最先端技術を発信し続けていましたが、子どもたちがそれを利用することに懐疑的でした。あるとき、ジョブズさんの子どもがどのくらいiPadに夢中かを聞かれた時、「彼らはiPadをまだ使ったことがない。私は子どもたちのIT機器の利用時間を制限している」と答え、大変話題となりました。
子どもとIT、どう付き合わせるべきか
実は最先端を行く人ほど、子どもたちとIT機器との関係に慎重になっています。
シリコンバレーの経営者の多くは、現代人はデジタルを使いすぎていると考えており、テクノロジーから離れる機会が必要だと認めているそうです。
実際に世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社・シスコシステムズでは、2万2000人の従業員に対して、インターネットを切って深呼吸するよういつもアドバイスしていると『タイム紙』が報じています。
日々、IT機器に触れている彼らがそのような付き合い方をしているのです。私たちもそこから学ぶべきことがあるでしょう。
私が思っている以上に、インターネットに依存している人の症状は重たいということがわかりました。想像のはるか上でした。
全にシャットアウトすることは難しいとしても、利用する時間を決めたり、ちゃんと親の目が行き届く範囲で利用させてみてはいかがでしょう。
大切なお子さんがインターネット中毒者になる前に守ってあげられるのは、親しかいませんものね。