親になってまだ数年なのに“叱る”“怒る”“注意する”の使い分けをするのはハードルが高いことです。

『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が、子どもへの伝え方について、お話したいと思います。

“躾”は怖がらせることではない

テレビで連日、痛ましい虐待事件のニュースが放送されます。最近では埼玉県狭山市で3歳の娘の顔全体に火傷をさせ死亡させた事件があります。

“虐待の連鎖”と言う言葉がありますが、その親もまたその親から虐待を受けているケースも数多く、根深いものがあります。暴力暴言で子どもをコントロールする躾方はどうなのでしょうか。

虐待する親は子どもに暴力を振るった理由を「躾のため」とよく言いますが、一歩間違えるとそこまで針が振れてしまいます。これほど子どもの躾は難しいものですね。

事件にならなくとも、子どもが言うことを聞かない時、大きな声で怒鳴りつけたり叩く人がいます。
単に感情を弱い立場である子どもにぶつけているだけです。これは“叱っている”のではなく、躾と言う名のもとに“怒っている”だけですね。

これで子どもがおとなしくなって「躾はやっぱり厳しく叩いて教えないといけない」と思っているのは大人の錯覚です。

子どもは親の後姿を見て育ちます。
親の権利を振りかざして、躾というの名のもとに怒りの感情を露わにしても、子どもは叩かれる痛みと恐怖心で親の言いなりになっているだけで、親が伝えたいことはまったく伝わっていないのです。

でも“怒らない”なんて難しい

そうは言っても、1歳児のママは親になってまだ1歳、3歳児のママは親になってまだ3歳、小学校1年生の子どもを持つ親はまだ小学1年生です。プロの教師ではありませんからうまくは出来ないですよね。

お母さんだって人間ですから、“子どもを躾けるつもりでも感情をぶちまけてただ怒鳴っている”そういうこともしょっちゅうあります。
特に、家事に育児にと日々やるべきことに追われていると気持ちの余裕もなくなってきてしまいます。

それに、もし“家事なんてやらなくていい”“子どもがどんな子に育とうと私には関係がないわ”の産みっぱなしの状態であればそもそも怒りの気持ちも起こらないはずです。

ですから、天使のような寝顔を見て「ああ、今日もたくさん怒ってしまった」と反省しているだけでそれに気が付いていない親に比べたら、その気持ちを持っているだけで一歩前進しています。