寿司飯を2種類用意する手もある。
ひとつはふつうの寿司飯を作り、もう片方には白ごまを入れるのだ。
白ごまを噛んだときの食感が愉しいいなり寿司になる。
刻んだ大葉を寿司飯に混ぜてもいいだろう。
あるいは、いなりあげを裏返すなど、様々なバージョンが愉しめる。

平翠軒が泉平のいなりあげを扱い始めた当初は、なかなか売れなかったそうだ。
倉敷には大企業があり、関東からの転勤族も多い。
転勤族とその家族は関東の味ともいえる泉平のファンになったが、
昔からの岡山県人には見向きもされなかった。
ところが、その後徐々に岡山県人の間でも泉平の味が浸透していった。
いまではすっかり平翠軒の定番になり、よく売れているそうだ。


これからの行楽シーズンや運動会にいなり寿司を作るなら、
手っ取り早くておいしい泉平のいなりあげ(8枚入り/840円)をすすめる。

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。