食事に30分以上かける
朝、子どもの食事に時間がかかって準備の時間がなくなり、バタバタしてしまう……。そんな悩みを抱える親も多いのでは。
実は「食事は30分でおしまいでいい」のだそう。
というのも、ご飯というのは食べ始めて30分ほどで血糖値が上昇し、すると脳内の満腹中枢が反応して「もう食べなくていいよ!」という指令を出すからなのです。脳からの欲求に敏感な子どもは、食事から30分たったら食欲がなくなり「もう食べたくない」と思うようになっているんですね。
さらにまずいのが、「早く食べなさい」という親のプレッシャー。これが、さらに子どもの食べるスピードを遅くしているのだとか。
アメリカで未就学児を対象に、ある実験をしました。1つのグループにはふつうにスープを飲ませて、もう片方のグループには大人が1分に4回「早く飲んでね」と言ったところ、前者のグループのほうがよく飲んだという結果に。
いかに、親が急かすことに意味がないかがわかる実験ですね。
食事は30分で食べきれる量にするか、30分たってもしまだ残っていても「たくさん食べられたね」と達成感を感じられる声かけをして終わらせましょう。
早くから箸を使わせる
お箸を上手に使える人になってほしい、そう願って早くから箸の練習をさせていませんか? でも、小さい子どもにとって、二本の棒を器用に指ではさんでそれを使ってご飯を食べるというのは至難の業。当然うまくいかなくて、親はイライラ……。
でも、うまく箸を使えるようになるには、箸を使えるようになることを「急がせない」ことが大事なのだそう。
まずは、前歯で噛み切って、奥歯でモグモグするところから。「そんなの、当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、子どもにとっては練習が必要なことなんです。
そして、前歯で噛み切るという能力は、手づかみ食べで養われるもの。
1歳半から2歳くらいはこの手づかみ食べが敏感な時期なので、お箸どころかスプーンすら焦って使わせる必要はないのです。口に入れすぎてオエッとなったり、遊び食べを繰り返しながら、うまく食べる方法を学んでいきます。
この「前歯で噛み切り、奥歯でモグモグ」が上手にできるようになったら、次はスプーンやフォークを使って食べるようにしましょう。
鉄棒を持つような持ち方から、指を添えて手首を動かし、やっと鉛筆を持つような(大人と同じ)持ち方ができるようになります。その過程で、箸を持つのに必要な指や手首の動かし方を自然と習得していくんです。
一足飛びに箸が使えるようにならなくて大丈夫。時間はかかっても、子どもなりのペースで順番に身に着けて行けば、ちゃんと使えるようになります。
テレビやスマホ動画を一切禁止にする
家事をしたいときや、外出先でおとなしくしていてほしいときなど、ついついスマホの動画に頼ってしまうこともありますよね。そんなとき、親はなんとなく罪悪感を抱いてしまうもの。
けれど、実は子どもにとってテレビやスマホなどの電子機器は、デメリットばかりではなくメリットもあるということが最近の研究結果ではわかってきたというのです。
例えば、子ども向けの教育DVDや知育アプリなどは、18ヶ月以降の子どもには、大人と一緒に楽しむことで学習効果が高まるそうです。あくまで大人のサポートは必要ですが、声をかけながら一緒に見て楽しむことで、より高い効果を得ることが可能なのですね。
夜遅くに電子機器を観ると体内時計が狂ってしまったり、食事中に観ると食事の手が止まってしまうという弊害もあるため、使いどきは注意したほうがいいですが、2歳以上であれば大人のリラックスタイムのために1時間以内はテレビやスマホ動画を見せてもいいとAAP(アメリカ小児科学会)も発表しています。
かたくなにテレビやスマホは害悪!と決めつけて徹底排除すると、自分を追い詰めてしまうことも。適度なリラックスタイムを得るために子どもに電子機器を見せてもいいんだ、という心構えでいれば、少し気が楽になるかもしれません。
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自立心を養うには、親が「ああして」「こうして」とガミガミ言うのではなく、「テキトー」に肩の力を抜くことも大切なのですね。本書を参考に、子どもの自立心を育てる「テキトー子育て」を実践してみてくださいね。