今回の「すくコム」の調査では、「子どもが写真を見たがるから」(51.6%)、「公共の場所などで静かにしてくれるので 便利だ」(50.3%)などが、使わせる理由の上位に入っており、54.4%が「ほんとうは使わせたくないが 使わせてしまっている」と回答しています。

皆さんは、「子どものスマホ接触」についてどのように考え、対応されていますか?

早くからスマホのある生活が“当たり前”になってしまうことで、その後、小中高校生となった時に、「スマホ依存」になっていたり、インターネットによるトラブルに巻き込まれたりすることも考えられます。また、「機会の損失」という意味でも考えることができます。

今回は、そんな「スマホと機会損失の関係」について、識者の意見を見ながら考えてみたいと思います。

コンピューターも二十歳から!?

「お酒は二十歳から。コンピューターも二十歳から」

こう持論を展開するのは、生物学者の本川達雄さんです。本川さんは、自著『人間にとって寿命とはなにか』のなかで、子どもとコンピューターの関係について語っています。

お酒が子どもに良くないことは周知の事実。脳のネットワークをつくるデリケートな時期だからこそ、子どもの飲酒はよくありません。それと同じでパソコンも子どもには不要なのです。

「検索エンジンを使えば知りたいことがすぐに出てきて効率はいいでしょう。しかしこれでは本物の知識は身につきません。時間をかけ、自ら思いついた疑問を解決しつつ、自力でじっくりと問題と付き合うから深い理解が得られるのですし、そうして身につけたものが、真に自分の血となり肉となり、生きる力になります。
また時間をかけて付き合った対象は、大切にしたくなるものです。自らエネルギーを注ぎ込み全身全霊をあげて取り組んだ時間が、真に自分にとって意味のある時間となるのだと思います」

『人間にとって寿命とはなにか』本川達雄著

なるほど。確かに簡単に何でも知り得てしまうことにデメリットがありますよね。

例えば、あなたは富士山に登ったことはありますか? 検索をかけてみると「標高3,776 m、日本最高峰(剣ヶ峰)の独立峰」と一瞬にして富士山のことを知ることができます。

しかし、いざ、実際に富士山を登ってみると、どのルートを使っても約10時間はかかる大変な行程となります。空気の薄さや気温の低さ、また高山病の厳しさについては、実際に体験してみないと、文字や動画だけではなかなか理解しにくいでしょう。また、目の前に広がる美しい景色も同じです。実際に重畳で体験しないと、富士山の魅力や偉大さに気付くことができません。