幼いうちから習い事に通わせて、文字や数字、英語を詰め込み過ぎると…「伸び伸び育たなくなる」「他人を思いやるなど、人として大切なことが育たななくなる」と言われてしまうことがあります。果たして本当なのでしょうか?
『一人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
時々、聞き捨てならない話を耳にすることがあります。
- 「あの子、勉強ばかりさせられているから、伸び伸びしていないのね」
- 「あの子のママ、教育熱心すぎる。やりすぎると思いやりの心が育たないわよね」
これって何か根拠があるのでしょうか?
頭でっかちになってしまう?
筆者は20年間、幼児教室の経営者として就学前の幼児に関わっていました。
例えば、九九の歌を聞かせていました。子ども達は「それが算数である」ことを知らずに、歌のように楽しく歌っていました。
すると、保護者から「頭でっかちになってしまうんではないんですか?」とか「英才教育をすると、思いやりのない子になってしまうのではないですか?」とか「こういう教育を施すとどんな大人になるんですか?」と質問をされることが多くありました。
筆者の答え
そんなときは次のように答えました。
「小学2年でかけ算九九が出てきますが、九九の暗唱をするとき幼児ほどは記憶力がありませんから、小学生は覚えるのに大変苦労しています。
子どもは生まれて数年、日本語の環境にいれば自然と日本語を獲得するように、幼児期は一生の中でスポンジのように見たもの聞いたものをドンドン吸収できる時期です。たとえ「覚えたくない」と耳をふさいでも、入ってくるものは記憶していきます。
それも遊びながら歌のように自然に覚えていきます。
ただし、幼児期は「3の4倍が12になる」の意味を教える必要はありません。“門前の小僧習わぬ経を読む”状態で良いのです。
それに…教えても幼児は理解できません。乗法(かけ算)が意味する内容は小学校2年生になったとき学校で教わればよいのです。
そして、九九を幼児期に覚えたからといって良い子になるとか悪い子になる、将来どんな大人になるかなんて因果関係はないですよ。」
「どんな大人になるか」は様々な要因が絡み合っている
人の成長に影響を与えるものは様々あります。更に人の成長はそんなに単純なものではありません。
- 持って生まれた遺伝的な気質や性格
- 育った家庭環境
- 親の養育態度
- 夫婦関係(いつもケンカしている家庭で育ったか、パパママが仲の良い家庭で育ったか)
- 幼稚園、保育園、学校の担任からの影響
- 友人関係
- 読んだ本や映画、SNSの影響
などなど
これらが複雑に絡み合って影響して一人の人間形成がされます。ですから「英才教育をすると、頭でっかちになるのではないか」はちょっと飛躍しすぎだと思うのです。