「ながら授乳」だって、アリだと私は思います

竹中:前回もちょっぴりお話ししましたが、よく「目を見て授乳して」なんて言われますよね?でも、どうやったって年がら年中ジーッと見ているワケにもいかないでしょ(笑)。

何かしながらの「ながら授乳」だって、アリだと私は思います。ママだって忙しいんだから、日常生活はそれで全然構わない。

ママの心に余裕がある時にね、赤ちゃんにたっぷり「おっぱい」をしてあげたら十分なのではないかな。

そして、ここ大事ですよ、だからこそ!ママと赤ちゃんが「おっぱい」の時間をゆったりと取れるように、周囲のサポートが絶対に必要なのです。

「生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんを引き離す哺乳類は人間だけ」なんだそうですよ(事情によっては動物園育ちの動物の場合とか、あるかもしれませんが)。

それこそ母乳の場合には授乳はママにしかできませんから、それ以外の育児や家事を、パパや周りの方がどんどん担ってほしいです。

これはミルクでも同じことで、ミルクの授乳はシェアできますが、そのひとときを豊かなものにするためにも、また産後のママの心身の回復のためにも、育児・家事にたくさんの手が要ることに変わりはありません。

笑顔を育んでいる「おっぱい」の秘めたる力に、ママもパパも、周りの人たちも、社会も、もっともっと気づくことができたなら、ママと赤ちゃん、そしてご家族が、幸せな気持ちで毎日を過ごすことができるのではないでしょうか。

最後に「うちはミルクだから・・・」とか「完全母乳じゃないから・・・」とか、引け目を感じてしまっているママ。そんな風に感じる必要はまったくありません。ミルクっ子も、母乳っ子も、混合っ子も、同じように過ごせるのですから。

「おっぱい」と「だっこ」は、本来ひとつのもの。「おっぱい」の本質は、乳汁の種類にあるのではありません。「ふれあい」こそが、母乳であるかミルクであるかよりも、ずっと大切な、最も大事なことだということを、どうぞ忘れないでくださいね。

【取材協力】竹中 恭子氏

母乳110番】代表・電話相談員。イラストレイター・ライター。1男1女の母。
おっぱいとだっこ』『おっぱいとごはん』『家族のためのおっぱいとだっこ』の母乳育児3部作ほか、著書・共著多数。『おっぱいとだっこ』は第9回ライターズネットワーク大賞受賞、近年は水彩画家「武蔵野つきこ」として『授乳美人』作品シリーズも発表。公式ブログも。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。