初めて出産する場合、子育てのマネーぐりは大きな心配事の一つではないでしょうか。世の中にはさまざまなマネープランの立て方がありますが、今の時代だからこそ、注意点や知っておきたいことがあります。

そこで、子育てマネープランの立て方の基本、注意点などを、子育てに詳しいファイナンシャルプランナーの平野たまきさんに教えていただきました。

子育てマネープランの基本

平野さんによると、子育てのマネープランを立てる際には、次のことを知っておく必要があるといいます。

平野たまきさん(以下、平野)「人生の3大資金は『教育・住宅・老後』といわれ、それぞれ1,000万円単位で必要になります。

人はどうしても目先のお金を最優先しがちで、子育て世代は特に子どもにお金をかけすぎる傾向があります。親にしてもらったように、自分の子どもにお金をかけてあげたいという声もよく聞きます。

でも、親の時代とは収入の伸びも教育費のかかり方も激変しています。結果、自分の老後に必ずそのしわ寄せがやってきてしまうのです。人生100年を想定して、最後までお金が尽きないマネープランを構築することがとても重要です」

実際、どのような手順でマネープランを立てればいいのでしょうか?

平野「まずは夫婦で、我が家の人生をどう生き抜くかをしっかり話し合うことが大切です。何に、いつ、いくらかけるか、どうやって資金準備をするかの計画を立てましょう。

例えば、児童手当を大学資金用にすることは、多くの人ができることです。総額200万ほどたまります。

単にためるのか、これを原資に運用して、もっと増やすかは、考え方とリスクへの許容度次第です。

また、子どもが生まれたら保険の見直しや加入検討は必須といえます。なぜなら、マネープランは夫婦が健康で働けることが大前提となるからです。万が一の備えは親の務めです。大なり小なりのアクシデントは時々あるものですし、ノーミスの人生はありえません」

まずは夫婦でしっかり話し合うこと。そして保険をどうするか考えること。ここから始めましょう。

子育てマネープランの落とし穴

出産後から保育園・幼稚園、小・中・高・大学と、子育てのマネープランを長期的に立てていく際には、注意したほうがいいことがあると平野さんは話します。

注意点1:大学資金までトータルで予算立てをする

平野「みなさん、お子さんが産まれた直後ですと、乳幼児期の習い事にお金をかけすぎる傾向があります。目先のことだけでなく、大学資金までトータルでかかるものについて、きちんと予算立てすることが重要です」

注意点2:児童手当は別口座に移動しておく

平野「児童手当は年3回に分けて振り込まれますが、放っておくといつの間にか生活費になってしまっているケースも少なくありません。振り込まれたらすぐに別口座に移動するなどして、きっちり分けておくといいでしょう」

注意点3:時々立ち止まり、マネープランの微調整を

平野「マネープランは長期戦で見据えるのが基本です。しかし、しっかりマネープランを立てて実行していっても、時が経つにつれて環境や夫婦の考え方が変わることもあります。ですから、時々、立ち止まってマネープランの微調整を行うことも必要になります。

例えば、そもそものプラン変更や、増えすぎているものは売却し、損失が出て減っているものは買い足すなど。

そうした微調整を地道に続けていくことによって、重要なライフイベント、例えば、大学入学などの時期がやってきたときに必要な資金が準備できている状態を作ることができます。

この繰り返しで、その都度やってくるライフイベントを順調に叶えていけば、思った通りの人生を歩むことができるのです。マネープランの微調整が、思い通りに生きるためのカギを握ります」