幼児期の母親の愛情は、子どもの健全な成長にとってとても大切ですが、今回アメリカで、母親の愛情によって、子どもの脳の成長に大きな差が出てくることが、科学的に実証されました。

今日は『グローバル社会に生きるこどものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』の著者で、“日本・欧米いいとこどり育児”を提唱している平川裕貴が、ワシントン大学の研究をもとに、脳の成長を促す子どもへの接し方についてお話します。

ワシントン大学の研究結果

ワシントン大学の研究によると、“愛情深く良き援助者である母親”の子どもの脳は、“冷たくよそよそしい母親”の子どもの脳と比べて、2倍のスピードで成長することを発見しました。

児童精神科医のジョアン・ルビー氏は、母親のサポートは子どもの脳の発達に影響を与える、そして、脳が母親の愛情によく答える時期があり、それは幼児期だと言っています。

母親のサポートにおける小さな変化は、海馬、主要なメモリ、学習と感情の抑制領域の成長の大きな変化につながると言います。

 脳スキャンの結果は、6歳児までの養育がもっとも効果的であることを示しています。たとえ母親が、子どもが大きくなってから子どものことを気に掛けるようになっても、幼児期に愛情をかけてもらえなかった子は、その成長に追いつくことができないということもわかりました。

幼児期に親の愛情やサポートで育てるべき能力って?

 だれもが何となくわかっている幼児教育の大切さですが、幼児教育というとどんなことを思い浮かべるでしょうか?

文字やアルファベットが書けるとか計算ができるということでしょうか? 教育というと、親はどうしてもこういった知識のことを思い浮かべ、IQや学力が高いことが大切なのだと考えがちですね。

でも、実はそうではないということが、これも科学的に実証されています。

確かに幼児期にいわゆるお勉強をさせれば、小学校入学時の学力やIQは高いのです。これらテストなどで計れる能力のことを「認知能力」と言いますが、この認知能力は、8歳くらいには、特に幼児期に勉強をしていなかった子達と差がなくなるのです。

ですから、ここでいう親の愛情やサポートというのは、決してお勉強をさせなさいということではありません。

大切なのは「我慢強い」とか「思いやりがある」とか「協調性がある」とか「好奇心旺盛である」とか「自己肯定感が高い」というような、なかなかテストなどでは測りにくい「非認知能力」と言われるもの。そしてこれらは、まさしく親の愛情やサポートで身に付くものなのです。

ただし、愛情のかけ方を間違えると逆効果になってしまいます。