親がちょっと目を離したすきに、子どもがしでかすとんでもないいたずらの数々。親としては子どもの好奇心を満たしてあげたいとは思いつつ、できればやめてもらいたい、と思ってしまうこともありますよね。

ですが、親がダメと言いたくなるあそびほど、子どもの非認知能力を高める効果があるのだそうですよ。

非認知能力とは、今までの学校教育で評価されてきた、読み書きや計算のような「認知能力」ではない能力です。

具体的には、なにかに集中して取り組むことができること、他人とうまくコミュニケーションが取れること、自分の気持ちをコントロールできること、自分を大事に思えることなど、目には見えないけれど、人として備えていたいことばかり。

数値化しにくい能力、かつすぐに成果が表れるわけではないので、親としてはどう伸ばしたらいいのか、悩む人も多いかもしれません。

そこで、NHK Eテレ「すくすく子育て」や多数の著書でおなじみの大豆生田啓友さんと、臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士として長年子育て相談に関わる大豆生田千夏さんによる共著『非認知能力を育てるあそびのレシピ』を参考に、非認知能力の高まるあそびのレシピをご紹介します。

すぐには目には見えないのが「非認知能力」

現在、世界的にその重要性が注目されている「非認知能力」は、別名を社会情動的スキルとも言われます。

非認知能力が高い子どもは、将来成功しやすいだとか、年収が高いといったことまで、すでにさまざまな研究から報告されているのだそうです。

ただ、気をつけておきたいのは、それは結果としてそうなのであって、子ども時代や学校に行っている間には、目に見えては発揮されないかもしれません。

なぜなら、非認知能力は点数がつくテストなどでははかれない能力だからです。大豆生田さんは、非認知能力を「あと伸びする力」と表現しています。

難しいと感じるかもしれませんが、だいじょうぶ、子どもが夢中になる「あそび」を通して、非認知能力は高められるものなのです。

まずは親とのアタッチメントが大切

さあ、遊ばせようと思っても、

  • 「うちの子はなかなかひとりで遊ばない」
  • 「すぐにだっこ、だっこで困ってしまう」

というママもいるかもしれません。

子どもが集中して遊ぶためには、子どもが安心・安全と感じられることが欠かせません。

子どもにとって、いちばん大切なことは、大人に愛されて、無条件に受け入れられること。自分に近い存在にいる大人とのアタッチメントが、遊ぶことも含め、すべての基盤になってきます。

アタッチメントとは、「不安な時に特定の大人にしっかりとくっつくことで、確かな安心感を得て、その中で形成される情緒的な絆」のこと。

たとえば、子どもがだっこしてほしい、と求めてきたら、そのままの気持ちを受け止め、できるだけ子どもの望みを叶えてあげること。自分の不安な気持ちを受け止めてくれる大人がいることで、子どもは自分の気持ちを立て直すことができるようになっていくものなのだそう。

安心と安全を手に入れた子どもは、じきにひとりでに遊び始めるでしょう。

あそびが学び

子どもが夢中になるとき、あそびは学びになります。

ええ、こんなことが? と思うママもいるかもしれません。ですが、子どもが真剣に遊んでいる時の集中力って、ものすごいものがありますよね。いくら話しかけても、完全にあっちの世界に入ってしまっていて、こちらの声なんて聞こえていないみたいです。

遊んでいる途中で、子どもが困難に遭遇することもあるでしょう。そんな時、つい手助けしたくなる気持ちになるかもしれませんが、ぐっとこらえて見守っていると、子どもは自分で解決の糸口をつかみます。

正解はひとつとは、かぎりません。大切なのは、子どもが自分で考えて、自分で問題を解決していくことにあります。

親が与えたり、指示するのではなく、子どもの興味・関心、意欲などを大事にするあそびは、非認知能力を育てるだけでなく、知的好奇心の育ち、つまり「知る」という認知能力をも伸ばしていきます。