そういう時間をつくることで、その美しさに気づいたり、雄大さを感じたりすることができる心を持った大人に成長してほしいと思います。

そうして感性は磨かれていきますし、実際に体験したからこそわかる豊かな表現力(“燃えるような夕陽”)が、その人の魅力の一つになっていくことでしょう。

花まる学習会では「生きる力」を育む野外体験を掲げています。野外体験は、あらゆる面で人間の大事なものを育てていくと思っています。

泣いていやがるわが子、やっぱりまだ早かった?

――親は行かせたいけれど、子どもが行きたくないと言っている場合はどうしたらよいのでしょうか。無理やり行かせたら、トラウマになりそうで心配なのですが。

箕浦:行きたくないという理由によくあるのが、「自由に遊べる時間が減るからいや」と言っているケースと、単純に不安なケースです。

前者の場合は、新しい世界を知るきっかけとして、ぜひ挑戦してほしいと思います。子どもたちは経験したことのない世界とそこで得られる感動を知らないだけ。その子の想像以上の体験ができるので、間違いなく大きくなって帰ってくるでしょう。

一方、後者は“お母さん大好きっ子”に多いのですが、「安心できる空間から出たくない」というのが理由です。

でも、そこから出さない限りは、外の世界を知ることができません。そして、その世界で生きていく意味を知るには、親以外の人から「ありがとう」と言われたり、頼りにされたりする経験が必要なのです。

だから単純に不安な場合は、ぜひ背中を押して野外体験に参加させてあげてください。

これまで様々な子を見てきましたが、頑張れない子はいません。泣いてかわいそうだからとキャンセルしたら、その子は今後も「泣けば言うことを聞いてもらえる」という基準を設定してしまうことになるのです。