「アミノ酸スコア100」のタンパク質を。カルシウムは乳製品や和の食材で
「一方で、とれていないように感じるのは、タンパク質やカルシウム。ごはんだけ、パンだけ、麺だけなど、主食ばかりを食べているお子さんが意外に多いのです。
幼児期はタンパク質やカルシウムを非常に必要とする時期。特に11才から17才にかけては骨の一番の成長期で、一生分のカルシウムを吸収します。
ですから、その時期にタンパク質やカルシウムを十分にとれていないと、丈夫なからだができていきません」
「タンパク質は、一にも二にも大事。できるだけアミノ酸スコア100のものをとっていただくといいですね」
アミノ酸スコア100の食材は、肉や魚のほか、牛乳、ヨーグルト、卵など。必須アミノ酸がバランスよく含まれていることから、“良質なタンパク質”と呼ばれ、筋肉や骨など、“からだそのもの”をつくるのに効率的に使われます。
出展:『人気管理栄養士が教える 頭のいい子が育つ食事』(日本実業出版社/小山浩子著)
ちなみに大豆は、アミノ酸スコアの点では少し劣るものの、ごはんと一緒に食べることで足りない必須アミノ酸を補うことができ、卵などの動物性食品と食べ合わせることで吸収力もアップ。
さらに、タンパク質だけでなく、神経伝達物質の材料となる「レシチン」や、“第2の脳”と呼ばれる腸の働きを整える「食物繊維」なども豊富なため、からだの成長や育脳食材として優れているとか。
また、カルシウムは骨や歯の原料になりますが、脳の働きをスムーズにするという役割も。カルシウムをとるためには、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品が優秀です。
けれども、これらのものをまったく買う習慣がない、という家庭もあるかと思います。そうした場合にとりたいのは?
「豆腐や小松菜、『ポリポリ小魚』のような小魚(無塩タイプ)、ちりめんじゃこ。それから高野豆腐やひじき、切り干し大根などの乾物ですね。
ほうれん草なども比較的カルシウムがとれます。豆乳では、カルシウムはほとんどとれません」
大豆や乾物、小魚……“和”の食材の積極的な活用がポイントになりそうですね。
そのほか、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛、クロム、ヨードといった微量ミネラルも、脳の発達に深く関与しているため欠かせないもの。
上記の食材に加えて野菜、果物、海藻、貝類、レバー、ドライフルーツなど、バランスよく食べることが推奨されます。
脳の発達には「オメガ3」の多い魚介を
さて、賢い「脳」を育てるために、まだまだ見逃せない栄養素があります。
「図を見ていただくとわかるのですが(下図参照)、神経型、つまり脳は6才頃までに急激に発達し、大人と同じくらいまで作られます。
脳はほぼ、6才頃までに完成されてしまうんですね。そのため、この時期にきちんと必要な栄養素をとらなければなりません。
特にお魚に含まれる栄養素、DHAやEPAが足りないと、うまく神経回路がつながらず、将来的に思考力など学習能力の低下を招いてしまいます」
DHAやEPAは、いわゆる「オメガ3系脂肪酸」と呼ばれるからだによい油。魚介、アマニ油、エゴマ油、クルミなどのナッツ類に多く含まれています。
「神経系の発達に有効な油だといわれています。これらは、からだの中で合成できないため、がんばってとろうとしないと、とれない油なんです」