わが子に「強い子になってほしい」という思いから、つい熱血教師のように「それくらいで泣かない、泣かない!」と励ましてしまうことってありませんか?でも、励まされば励まされるほど子どもは気弱になってしまうことがあります。
『1人でできる子になる 「テキトー母さん流」 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
子どもは…
- 転んで痛ければ泣く
- 暗闇が怖ければ怯える
- 不安だったら怖がる
- 親の姿が見えないと、そこに玩具があっても気が気ではなく泣き叫ぶ
これらは人の自然の感情です。まだ数年前にこの世に誕生したばかりの幼い子は、尚更です。「唯一頼れる親にすがりたい」の思いが強く、大泣きして訴えてきます。
そんなとき一体どんな対応をすればよいのでしょうか。
こんな励ましはNG
例えば…
- 子どもが友達にぶたれて泣いたとき、「そんなことくらいで泣くんじゃないの!」「怒ってはダメ!」と言う
- 転んだとき、「痛くない、痛くない」
- 暑い、寒いと叫んだとき、「我慢!我慢!」
- ・アトピーで痒がっているとき、「痒くない!痒くない!」
実はこう言われて「痛みは和らぐだろう」「かゆみは治まるだろう」と考えているのは大人だけで、子どもは「どうして僕の気持ちをわかってくれないんだ」と思っているかもしれません。それよりも痛さ、辛さを子どもと分かち合いませんか?
でも、当人ではない親がどう分かち合えば良いのでしょうか。
子どもの予防接種の時、あなたはどのタイプ?
熱血タイプ
- 「ちっとも痛くないでしょ。これくらい我慢しなさい!」と泣いていることを叱る。
- 「痛いの、痛いの飛んでいけ~」と呪文を唱える。
- 「いつまでも泣いていないの。弱虫ね!」と暗に「強くなれ」と命令する。
寄り添うタイプ
- 「ああ、痛かったね」
- 「よく我慢したね。偉かったね」
- 「泣きたいだけ泣いていいんだよ。帰りにおやつ買って、おうちで食べようね」
さて、あなたはどちらのタイプですか?
熱血ママタイプは「子どもには強い子に育ってほしい」の思いがありますが、泣いてしまった自分の態度を受け止めてもらえなかった子どもは、「僕は弱虫なんだ」と却って自信をなくしてしまいます。
こんな文章がありました。
「心に関心が向けられないと、心は育たない
癇癪を起こして泣き叫んでいる子どもに
「悔しかったんだね」
と語りかけ、その子の気持ちを代弁することで
子どもは自分の気持ちが受け止められたと感じる
自分の心のプロセスが理解できることで、気持ちを
コントロールしやすくなる
気持ちをぴったり言い当てられると、興奮が収まる」出典(『発達障害と呼ばないで 岡田尊司』
痛い!不安…自分に置き換えてみよう
料理中に包丁で指を切ってしまい「痛い!」と叫んだら…?
理解のないタイプ
夫や姑から「なんだそんなことくらいで叫んで!」「もっと気を付けて調理しろよ!」「いつまでも指を抑えていないでさっさと晩飯作れよ」と言われたら、どう感じますか。痛みが倍増しませんか?
痛みに寄り添うタイプ
「大丈夫か?血は止まったか?」「それは痛いよね。夕飯の準備はもういいから少し休んでて」なんだか傷みが和ぎませんか?
更に「これくらい大丈夫だから、ありがとね」なんて答えて料理を続けたくなりませんか?
学生の頃、悩みを抱えて友達に相談したとき…
- 「そんなことないよ」
- 「思い込みが激しいんだよ」
- 「これからはきっと良いことがあるよ」
こんな風に励まされても気持ちは前向きになれませんでした。それよりも…
- 「うん、そうなんだ」
- 「私もあなたの立場だったら、きっとそんな気持ちになるわ~」
と言われた方が心が軽くなりませんでしたか。
筆者も長年アトピーの痒みに苦しんできましたが、母親から「掻いちゃダメ!」とか「痒くないでしょ。我慢、我慢」と言われるよりも「痒いよね~」と共感された方が痒みが和らぎました。
これらと同様に、子どもが転んで泣いたとき「ボーッとして歩いているからよ!」「だから『いつも気を付けて歩きなさい』って言っているでしょ!」とあれこれアドバイスするのは、実は子どもに寄り添っていないのです。
こんな時は「ああ、痛かったね」とだけ言ってやりましょう。