3.「お付き合いの先」が見えない
そんな彼女ですが、家を出たあとは仕事も順調で彼氏もできて、恋愛面は充実していたといいます。
「恋人なら、ケンカしてダメだったときにすぐ別れることができるじゃないですか。私だって彼氏はほしいし、ずっとお付き合いしたいと思う男性もいました」
でも、「これからも一緒にいたいね」と恋人と愛をささやきあうとき、ふと我に返るのが「このまま交際が続けば、いずれ結婚を考えなければいけない」という現実で、そこで彼女の気持ちは立ち止まります。
愛情が深くなれば、当然「恋人関係の先」を想像します。結婚は、夫婦という社会的にも安定した身分を得ることであり、それを望むのが多くの人。
彼氏も、当たり前のように彼女との結婚を考え、そんな“打診”もあったそうです。
「私の両親のこととか訊かれて、何も言えなかったんですよね。
幸せな夫婦じゃなかった、私のせいで離婚できなかった、そんな感情しか私にはないし、彼氏が『挨拶に行きたいな』と言ってもそんな状態が想像できなくて、適当に流していました」
彼氏は結婚を考えてくれるけれど、自分は「お付き合いの先」が見えない。このすれ違いが、少しずつ彼女にプレッシャーを与えていきます。
4.「付き合わなければ良かった」という後悔
彼氏のことは好きだけれど、結婚は考えられない。
結局、この“壁”を乗り越えられずに、彼女はプロポーズをお断りすることになります。
思い切って求婚に踏み切ってくれた彼氏の気持ちを思うと、本当に申し訳ない。そう繰り返しながら彼女は泣いていました。
「付き合わなければ良かった。彼氏が結婚したがっているのは知っていたのに、私がそれをうやむやにし続けたのがいけなかった」
彼女の後悔は、“結婚する意思がないのに交際を続けた”こと。
いずれその流れになることを正面から考えず、ただ恋愛感情だけで一緒にいたことが、最終的に彼氏に深い傷を残してしまった。
それが、彼女に大きな痛みを残しています。
彼氏の愛情はうれしかったけれど、それに応える心が自分にはなかった。その現実は、「私には人を愛する資格がない」と口にするほど、彼女にとってはつらいことです。
すべての交際が結婚に至るわけではありません。
それでも、お付き合いの先にその未来を考える人は多いこと、それが“普通”であること、そしてそれができないのが自分なのだと、彼女は結婚について希望を持てない心について、いまやっと問い直すことに気が付きました。
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別れるとき、彼女は男性に対して正直に自分の気持ちを話すことができませんでした。
それも深い後悔につながっていますが、問題なのは結婚に積極的になれないことではなく、人を愛する気持ちにストップをかけてしまう心のあり方です。
「お付き合いの先」は、ふたりで考えること、
でも、話し合う準備ができてないのは、彼女の中にそもそも愛情をまっすぐに育てたい心が不足しているからともいえます。
両親の姿は確かにショックな現実ではありますが、親と自分はちがう人間であり、生き方もまた自分で選べる、と思うのが正解。
その「こうありたい自分」を見つけるために、彼女はいま懸命に自分と向き合っています。