現在好評放送中の秋アニメの中から、三度の飯よりアニソンが好きな音楽ライターが厳選した今季オススメのエンディング主題歌をご紹介します。
アブストラクトで浮遊性の高い楽曲や、メロディがクッキリとした痛快なポップナンバー、現在進行系のロックシーンからの影響を感じさせるモダンなサウンドまで、作品性の幅広さに比例するように、実にバラエティに富んだ楽曲が出揃いました。
じっくりと各楽曲を紹介していきますよ!
TO-MAS feat. Chima『FLIP FLAP FLIP FLAP』(『フリップフラッパーズ』)
謎だらけの世界観に、これまた謎だらけのキャラクター、ちょっぴりシュールで、でも、何だか温かみがあって、掴みどころのない作品なのにどういうわけか目が離せない……。『フリップフラッパーズ』は、この秋スタートした作品の中でも、その特異性のある作品世界で一際個性を放っているオリジナルアニメです。
何ともミステリアスな作品ではありますが、だからこそ、この先の展開を観たくなる、惹きつけられてしまう。その中毒性は、本作の大きな魅力といえます。
エンディング曲に使用されている『FLIP FLAP FLIP FLAP』は、本作で劇伴も手掛ける「TO-MAS SOUNDSIGHT FLUORESCENT FOREST」(クラムボンのミトさん、作曲家の松井洋平さん、シンガーソングライターの伊藤真澄さんによる音楽ユニット。本作では「TO-MAS」名義)による楽曲です。
ゲストヴォーカルに「Chima」さんを迎えたこの曲は、『フリップフラッパーズ』という作品に相応しい不可思議な響きを持ったストレンジ・ポップで、魅惑的な余韻を聴き手に残してくれます。
Chimaさんの歌声は、とても素朴で穏やかさを有しつつも、他方で蠱惑的な怪しさも併せ持っており、この曲に親しみやすさと抽象的な奥深さの両方を与えています。
どこかファンタジックで寓話的なニュアンスを持ったサウンドは、谷山浩子さんやZABADAK、もう少しアニソン寄りのアーティストならば新居昭乃さんといったアーティストの諸作品が好きな方ならば感性を大いに刺激されること間違い無しのパワーがあります。
実力派ミュージシャンが揃ったユニットらしい、ミステリアスかつ実験的でありながらも"ポップ"なサウンドアプローチと、Chinoさんの歌声が見事な相乗効果をもたらしているこの曲。『フリップフラッパーズ』の作品世界にピッタリな楽曲であり、アニメ本編と見事な調和を果たしているナンバーです。
ちなみに、「FLIP FLAP」とは、擬音で近しい日本語に当てはめると「ドタバタ」とか「パタパタ」といったニュアンスになるとのこと。これも、作品世界を読み解くヒントになる……のでしょうか?