北宇治カルテット『ヴィヴァーチェ!』(『響け! ユーフォニアム2』)
京都アニメーションが送る人気アニメの第二シーズン『響け! ユーフォニアム2』のエンディングを軽やかに、そして、鮮やかなに彩っている曲が、この『ヴィヴァーチェ!』です。
第一期のエンディング曲で使用された名曲『トゥッティ!』と同じく、作詞・作曲に人気アニソンミュージシャンの「ZAQ」さん、編曲に高田暁さん、そして、歌うは勿論、主要登場人物を演じる女性声優によるユニットの北宇治カルテット……という鉄壁の布陣で作成された楽曲は、「生き生きと」を意味する音楽用語を引用したタイトルの通り、非常に快活でメロディアスな楽曲となっています。
『トゥッティ!』では、スカコアを意識した作・編曲が行われていましたが、今回も作品のテーマである管楽器の音色を最大限に活かすべく、スイング感に溢れたポップな曲調が用いられています。
高校の吹奏楽部をテーマにした青春ドラマである『響け! ユーフォニアム』に相応しく、ホーンセクションを主役の楽器にレイアウトするというゴール地点が明確な作曲術は何とも心地良く、作品にピッタリとマッチする音世界を作り出すZAQさんのサウンドクリエイターとしての才とセンスを改めて感じるナンバーです。
主役の久美子を演じる黒沢ともよさんをはじめ、女性声優さんの歌声も非常に心地良く、「音」と「歌」がカッチリと噛み合っている印象を受けます。それぞれに声質の異なる声優さんの歌声がユニゾンした時の快感は、今期のアニソンにおいて突出した魅力を有しています。皆さん、それぞれ凄くメロディを大事にして歌ってくるのが伝わってくるのも非常に好印象ですよね。
京都アニメーションの美麗なアニメーションと共に、本作の抜群の安定感を感じさせてくれるナンバーです。
YURI!!! on ICE feat. w.hatano『You Only Live Once』(『ユーリ!!! on ICE』)
最後に紹介したいオススメのエンディング曲が、『ユーリ!!! on ICE』の『You Only Live Once』です。
先ずは、何はなくとも注目したいのが、豪華なクリエイター陣の顔ぶれです。
作詞には、ノーナ・リーヴスのメンバーであり、マイケル・ジャクソンを筆頭とする80年代の洋楽ポップス研究家であり、ジャニーズアーティストにも曲を提供する作詞家・作曲家であり、更に文筆家でもあり……と音楽を軸に多彩でマルチな活動をされている西寺郷太さん。そして作曲に、音楽ゲームの『BEMANI』やJ-POPアーティストの曲を手掛ける彦田元気さんを迎えた楽曲は、今期アニメ作品の中でも特にハイファイなサウンドを伴ったナンバーとなっており、聴く者の情感を揺さぶってくれます。
音の方向性としては、現在、世界中で隆盛を誇る「EDM」的な高揚感と扇情な叙情性を取り込んだ電子系のサウンド……という形容が可能かと思いますが、こうした現在進行系の音楽ジャンルを巧みに、しかも違和感を感じさせることなく極々自然にアニソンに取り込んでみせる手腕は、ただただ「お見事!」の一言。
ドラマティックなメロディの展開も込みで、秋アニメのエンディング曲における一つの特異点として強く意識しておきたい曲です。
それは、オープニング曲で使用されているディーン・フジオカさんの『History Maker』も然りで、あの分厚く多層的な音の重なりは、やはり、現行のロック・ミュージックとの共時性を感じさせてくれます。
クリエイターとシンガーの豪華さに加えて、オープニング曲もエンディング曲も、音の作り方が非常に現代的なのが、『ユーリ!!! on ICE』という作品が持つ音楽性のおもしろいポイントです。
それにしても、『You Only Live Once』における羽多野渉さんの歌声は、本当に素晴らしいですよね! 他のEDM系ミュージシャンやDJのフィーチャリングアーティストとして楽曲に参加しても、見事に音にフィットするのではないかと思います。
今期作品の中でも、特にアニメファンからの注目度の高い本作ですが、その音楽面にも是非とも要注目をしていただければ幸いです。