3.「無謀」と「挑戦」は違う!
「以前から『会社勤めより農業をやってのんびり暮らしたい』と言っていた夫。
今の仕事は苦手な業務が多くて、ストレスが溜まるだろうなと思った私は、休日はひとりで過ごす時間を作ってあげたり晩ごはんは好きなものを意識して並べたり、いたわっているつもりでした。
でも、希望していた部署への異動がかなわなかった年、ついに『もう会社をやめて農業を始める!』と言い出して。
『俺はまだ若いし、努力すれば何でもできる』と鼻息荒く言うけれど、何の知識もないままいきなり農業を始めてもうまくいくとは思えず、
『本当にやりたいのなら、今の仕事を続けながらまず勉強したほうがいい』
と何度も説得しました。
本人にとっては“挑戦”でも、家族から見れば“無謀”。それで一家全員で路頭に迷うのは避けたかったです。
そこまでは言わなかったけど、夫は友人たちにも同じように説得されて、退職を留まりました」(32歳/営業)
「後先を考えず、ただ逃げたいからって転職されても困る」とこちらの妻は話していましたが、もともと農業が好きなわけではなく「会社勤めよりマシだから」のような気持ちで始められても、いずれ挫折するのは目に見えていますよね。
自分の選択が家族にどんな影響を与えるか考えない幼稚な姿に、妻は「巻き込まれたくない」一心で退職するのを止めたそう。
こういうときにしっかりブレーキをかけるのも、妻として大切な対応ですね。
4.家庭の状況を優先するのも夫婦のつとめ
「交際していたときから、突然の出張や残業が入ることが多くてデートの予定が何度も消えてきた夫。
結婚後すぐに私は妊娠、出産したときも夫の状況は変わらず、会社と家庭の間で大変な思いをしているのは気づいていました。
それで責めたことはなかったのですが、ある日
『このままじゃ俺がもたない。転職する』
と夫が言い出して。
でも、夫が転職先の候補にあげた会社はどれもブラックで有名な会社で、とてもじゃないけど応援する気持ちにはなれず……。
『転職するのは応援したいけれど、今は私も動けないし、もう少し待って。今は家庭の状況を優先してほしい。
子どもが保育園に入るようになったら私も働きに出るから、そのときあなたも改めて転職を考えて』
と話し合いました。
お金のことなど、いま転職すれば生活がもっと悪くなると気づいた夫はそれで考え直してくれました。
転職したい気持ちはわかるのですが、それより家庭を優先するのも夫のつとめだと思います」(35歳/専業主婦)
夫の転職したい気持ちそのものは応援したい。でも、新生児を抱えて身動きが取れない今は、それより生活の維持を考えてほしい。
「夫には申し訳ないけれど」と言うこちらの妻は、自分が仕事を始められるようになったら、夫の転職もしっかり応援していきたいと思っています。
人生では転職も重要な転機だけど、家庭の状況を優先するのも夫婦のつとめ。
夫婦で支え合って今を乗り切る考え方も、ときには受け入れる必要があるのかなと思いました。
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転職を言われて妻が動揺するのは、それで成功するという保証がなく、夫婦なら自分の人生まで大きな影響を受けるから。
やみくもに反対すると夫は反発するし、応援するのならそれなりの覚悟も必要です。
だからこそ、妻の慎重な対応が結婚生活の今後を左右するといっても過言ではありません。
夫の転職したい気持ちも汲みながら、ふたりでしっかり計画を立てる時間を持ちたいですね。