子育ては、可愛いだけではなく様々な苦労があるもの。その子育てを終えた主婦は、自分の趣味を楽しんだり、働きに出る人も多いでしょう。「これまで子育てで大変だっただろうし、さぞや楽しい時間を過ごしているだろう」と思う人も多くいるでしょう。

今回インタビューさせていただいた、琴実さん(仮名)は、自分のことを「からの巣症候群」と話します。

なぜそのような気持ちに陥ってしまったのか、原因と対処法を聞いてみました。

「子育てが終わっても明るく思えない」

「からの巣症候群」ならではの苦悩を語ってくれたのは、都内在住の琴実さん(仮名)。長男と5つ離れた長女の二人のお子さんがいます。

娘が結婚して、状況が一変した

――長い子育てが終わったということで、楽しい日々を過ごしていると思うのですが、実際はどうでしょうか。

琴実さん「よく人にそう言われます。長男は高校進学時に地方の全寮制の高校に入学したんですよ。

その時も寂しかったのですが、下に娘がいたものですから、そこまで寂しさを感じずに過ごしてきました。娘はお母さんっ子で、社会人になっても時間を見つけては私と買い物に出てくれる明るい子でした」

――すごく幸せそうですね。娘と買い物とか私もしてみたいです。

琴実さん「子供が産まれてから、それこそ姑問題に悩んだことや主人との教育方針との違いに悩んだり色々ありました。でも、子供が“お母さん”と話しかけてくれることで子育ての楽しさを感じていましたし、生きがいも感じていたんです。

ところが一昨年の春頃に娘が結婚してしまいまして、状況が一変したんです。“子供が大きくなったらにしよう”と我慢していたこともたくさんあったはずなのに毎日がしんどいんですよね」

主人と一緒に二人で過ごすことが、とにかく苦痛

――子育てが終わって時間にも余裕ができて、使えるお金も増えるイメージがありますけど……

琴実さん「主人と一緒に二人で過ごすことが、とにかく苦痛なんです。

これまで何度も子育てに関して話し合いを持ちかけてきました。しかし、専業主婦である私に“俺は働いているんだから時間がない”と話し、“お前がなんとかしろ”と言われてきたんですよね。そのことが頭から離れなくて。

確かに養ってもらったのかもしれません。だけど、私だって家事や子供の役員などやれることを沢山やってきた。それこそ、主人の仕事だって私のサポートがあったから打ち込めたのだと思います」

――なるほど。やっと時代が変化してつつある今もなかなか主婦業は、“仕事”と認識されないですもんね。

琴実さん「その当時の虚しさや寂しさが頭から離れなくて。

夫婦として30年近く共に過ごしている中では、セックスレスになったりして“女として愛されているのか”とか疑問に思ったりしたこともあります。それでも、大切な子供たちのために、家族のためにこれまで家のことをしてきたつもりです。」