琴実さん「娘がいなくなってからわかったんですよ。私はこの結婚生活で夫に愛情がすでにないんだと……。

離婚したくても、この歳になってしまうと再就職も難しいんです。

主人は結婚するときに“専業主婦になってくれ”と話しました。でも今は“子供も育ったし、就職してくれ”と身勝手なこと言ってますけどね。就職できるなら、彼と共働きを選ぶのではなく離婚しますけど(笑)」

「からの巣症候群」にどう対処しているの?

社会的ステータスがないことや夫との関係性など原因が色々と見えてきた

――そのような毎日の鬱々した気持ちを抱えて、「からの巣症候群」にどう対処されているんですか?

琴実さん「子供がいたので、今までは“離婚されたら……”と思うと夫に強く出ることが難しかったんです。我慢に我慢を重ねてきましたが、それももう限界。

むしろ子供たちは巣立った後なので、夫といっぱい喧嘩するようにしました。臆することなく発言しますし、直してほしいところも口にするようにしました。

今までは“お前は黙ってろ!”と言われたら、素直に従っていましたが、これからはやめようと思っています」

――つまり、琴実さんの場合は「からの巣症候群」は子供さんが巣立った寂しさより、ご主人との関係が原因なところがあったんですね。

琴実さん「そうですね。最初は子供がいなくなって、それぞれ育ってしまったことへの寂しさかと思いました。

ただ突き詰めていくと、子供がいないことで自分の空いた時間を有効に活用できるのに社会的ステータスがないことや主人との関係性など原因が色々と見えてきたんですよね。

「からの巣症候群」の人の中には、“子供がいない”とお子さんに対して依存心が高くなってしまう人もいるみたいですね。でも、その時は”なんで子供がそばにいてほしいのか”を考えてみると見えてくる感情があるかもしれないですね」

「からの巣症候群」の虚しさは自分の中にあるかも

「からの巣症候群」とは、それまでの子育てが終わったからこそ浮き彫りになる問題がそこにはあるのかもしれません。

子供の巣立ちは、今までは誰かのために身を粉にしてきた女性ほど、自分の気持ちを大切にするいい機会なのかもしれませんね。

年子兄弟を養育する1994年生まれ。一度の離婚を経験しシングルマザーに、そして子連れ再婚へ。数多くの恋愛経験から、恋愛コラムを主に多くのメディアでコラムニストとして活躍する。自身の体験をもとに執筆するコラムに定評があり、他者の心を動かす投げかけコラムを得意とする。そのほか介護の資格を所持しており、現代の介護事情にも詳しい。ブログ