子どもとの交換日記でノートの書き方を教えよう
――本書では、親にできることもたくさん紹介されているのでどの家庭でも導入しやすいと思いますが、とくに交換日記をしてみようというのは面白いなと思いました。
太田:勉強だと思わずに、親子のコミュニケーションをより深めるために、足りない部分を補うために楽しんでやってもらいたいです。
ノートは、交換日記用のノートよりも、大学ノートや縦書きの作文ノートを使った方が、ノートを編集しながら文章を書くという力がつけられると思います。
また、親が添削をしない、ということも大切です。文字が間違えていても、書き方がおかしくても構いません。正しい書き方は親が書くページで見せてあげてください。それを真似てお子さんもきちんと書けるようになっていくと思います。
――たくさんの東大生やその親御さんを取材してこられて、素敵だなと思う共通点はありましたか。
太田:これまで取材した親御さんからは覚悟を感じました。
勉強を楽しんでほしい、小学校の勉強で苦手意識を持ってほしくない、などそれぞれの思いをお子さまに伝えるために工夫し、努力し、時間を惜しんでいませんでした。
大変なときもあったと思います。「ここまでする?」と自問自答したこともあったと思います。それでも、子どもに寄り添い続けたところは本当にすごいなと尊敬しています。
子どもが文字に興味を持ち始めたときが始めどき
――ご自身の子育てのなかで子どもにノート力、自学自習力をつけさせるため、とくに心がけていることはありますか。
太田:今年、長男が1年生になりました。家庭学習の習慣がつくといいなと思っているので毎日、ノートと宿題を見るようにしています。
まず、ノートですが……。今年の春、授業で書いてきたノートを見たときはとてもびっくりしました。
ノートは開いたところから書いている! けい線を無視して書いている!など自由奔放な性格がそのまま出ているノートに、「そうきたか!」と(笑)。
でも、仕方ないなとも思いました。ノートは何のために書くのか彼は知らないし、それまではノートと言えばお絵描き帳しか使っていなかったので。
その日から、毎日ノートを見て、気をつけるところに「今日はここから使おう!」とか「1ラインあけようね」とか、細い付箋に書いて貼っています。
少しでも楽しい雰囲気になるよう言葉だけでなく『東大合格生が小学生だったときのノート』に出てきたキャラクターのイラストも描いています。息子はエンピルー(鉛筆のキャラクター)が大好きです(笑)。
もうひとつ、宿題の確認ですね。宿題を見て、適当だったり、間違えていたりしたら一緒にやり直すようにしています。
1年生なので、今はそれくらいです。「忙しくて今日は無理〜!」と思う日もあるのですが、こういうときに親の覚悟が問われるのかなと。地道にやっていきたいなと思っています。
――小学校にあがる前から、ノート力の土台作りとして何かできることがあれば教えてください。
ノートは、鉛筆をしっかり持って文字を書くことからスタートするので、筆圧を鍛える必要があります。
タブレットにタッチペンなどで文字を練習する教材は、文字の形を覚えるには良いと思います。しかし、手の力を必要としないので筆圧が鍛えられません。
ですので、文字の練習をするのであれば、ぜひ、鉛筆を持って、慣れない間は持ち方の補助具をつけてやってみてください。
お子さんが文字に興味を持ち始めたときが始めどきだと思います。文字を書いたら、どんなに下手でもいい部分を見つけてたくさんほめて、やる気を伸ばしてあげてください。
お母さま自身が教える場合、厳しくなりすぎてしまう場合があります。親子でイライラしてしまうのであれば、読み書きを教えてくれる教室に通わせるのも手かなと思います。
書けなくて当たり前、下手で当たり前。焦らず、お子さんの成長を感じながら親子で書くことを楽しんでください。
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ノート作りのサポートをする声かけや、一緒に交換日記を楽しむような寄り添い方で自学自習の力をつけ、自ら勉強する子どもになる……。それが、東大にも合格するほどの地頭の良さを鍛える一歩。
太田さんの著書『東大合格生が小学生だったときのノート ノートが書きたくなる6つの約束』には、ノートのとり方だけでなく、親ができるサポートについてもさらに詳しく書かれています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。