「怒ると、脳の効率が悪くなります。怒ると脳の血流をグーッと上げるのですが、無駄なエネルギーを消費して、冷静に考えられなくなる。脳が使えていなくて、血圧が上がっているだけなので、非効率な脳の使い方になります。そうなると、1時間くらい元の状態には戻りません。
1回怒ってしまうと、自分も周りも、もう一度立て直すのに時間がかかるんです。怒らなければそのままうまく流れたのに、爆発してしまったから倍の時間がかかったりとか。よくよく考えれば、あの場面でこうすればスムースにいった、という場面はたくさんありますよね」
男女の脳の違いを知ることも、怒りを回避するポイント
「男性は『見て』怒ります。女性の場合は『聞いて』怒ることが多い。得意な脳の場所が違うんです。
例えば、『あなたはどう思う?』と意見を聞かれたとき、女性はうれしく感じるけど、男性は『なんで聞くんだ!』と怒り始める(笑)。それくらい、男女の脳は対照的なんです。だから、男女の性質をある程度理解した方が生きやすい。生きていくうえでの価値観、ものごとのとらえ方が全然違うんです。
女性の場合では、記憶力がよすぎて怒ることもあります。よく覚えているんですね、人の言ったことを。『あのときはこうだったでしょ』、と女性は覚えていても、男性の方は覚えていなくて、話の齟齬が起きたりする。
怒りって人と人との間に生じますよね。脳のつくりそのものが違うので、そこでやっぱり爆発してくのかなと。喧嘩するほど仲がいいと言いますが、そうではないような気がします」
怒りっぽいのは「性格」ではなく、「脳の使い方のクセ」のせい!
「イライラする場面は、人によって傾向があります。だから自分の傾向を知っておいたほうがいいです。怒りっぽいのは『性格』ではなく、『脳の働き』なんですね。その人の脳の使い方を、『性格』だと感じているわけです。
でもじつは怒りっぽい性格というのもあります。落ち着きがない、前頭葉が弱い、発達障害の傾向がある……この場合はキレやすくなります。
そうでなければ、脳の同じ場所を使っていたら怒りやすくなるし、体が疲れて足腰がパンパンになったら怒りやすくなる。脳の性質としても、怒りやすさはあります。それらを全部、自分の性格だと勘違いしているんですね。
性格(脳の使い方)も、比較的感染しやすいところがあって。家族が怒る人だったら、自分も大人になって同じように怒っていたり。感情も感染しやすいです。親から習った怒り方なのに、それを自分のクセだと思っていたりします。
脳には、そういう『習慣』が身に付きやすいということですね。でも、それは変えることができるのです」