日本の子どもたちは今、世界的に見て、どのくらいのレベルの学力を持っているのか、気になりませんか?

それを知るための一つの指標となるのが、OECD(経済協力開発機構)が義務教育修了段階の15歳児を対象に、世界的に実施している「生徒の学習到達度調査(PISA)」の結果です。

この結果では、世界の子どもたちの学習到達度を比べることができることから、今、日本の子どもたちがどのくらいの学力のレベルなのかを知ることができるのです。

そこで今回は、この調査結果と共に、日本の子どもたちの学力にまつわる課題、文部科学省が進めている施策について解説します。

「生徒の学習到達度調査(PISA)」って?

「生徒の学習到達度調査(PISA)」は、義務教育修了段階の15歳児を対象に、2000年から3年ごとに、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3つの分野で実施されている調査です。

日本は、高校1年相当学年が対象で、2018年調査は、2018年6~8月に実施されました。

この調査結果からは、世界的に見て、日本の子どもたちの学力はどこが強く、どこが弱いのかを知ることができます。

日本の子どもたちの学習到達度は?

では、2018年の日本の子どもたちの結果はどうだったのでしょうか? その結果のトピックスを見ていきましょう。

1.「数学的リテラシー」と「科学的リテラシー」は世界トップレベルを維持!

「数学的リテラシー」と「科学的リテラシー」は、これまでに引き続き、世界トップレベルとなりました。

「数学的リテラシー」は、なんとOECD加盟国37か国において、第1位! 韓国「526点」、エストニア「523点」を抑えて、平均得点「527点」となりました。

「科学的リテラシー」においては、第2位。エストニアの「530点」より1点劣り、「529点」となりました。

文部科学省・国立教育政策研究所の資料によれば、調査開始以降、日本の「数学的リテラシー」と「科学的リテラシー」は安定的に世界トップレベルを維持しているとOECDが分析しているそうです。

2.「読解力」が低下

一方で、「読解力」については、OECD平均より高得点のグループに位置してはいるものの、前回より平均得点と順位が、統計的に有意に低下しました。順位は第11位で、平均得点は「504点」。

1位エストニア「523点」、2位カナダとフィンランド「520点」より大きく下回っていました。

「読解力」で日本の子どもたちが弱いところは?

惜しくも11位となった日本の子どもたちの「読解力」。特に読解力の問題で、正答率が比較的低かった問題は、「テキストから情報を探し出す問題」や、「テキストの質と信ぴょう性を評価する問題」などがあったそうです。

そもそも、読解力とはどんな力なのでしょうか?

読解力の定義

読解力の定義は、

「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。」

とされています。