読解力を測定する3つの能力

そしてこの読解力を測定する能力は次の3つがあります。

(1)情報を探し出す

  • テキスト中の情報にアクセスし、取り出す
  • 関連するテキストを探索し、選び出す

(2)理解する

  • 字句の意味を理解する
  • 統合し、推論を創出する

(3)評価し、熟考する

  • 質と信ぴょう性を評価する
  • 内容と形式について熟考する
  • 矛盾を見つけて対処する

この読解力を測定する3つの能力について、それらの平均得点が比較可能な2000年、2009年及び2018年の調査結果を踏まえると、

「(2)理解する」能力については、その平均得点が安定的に高いそうですが、「(1)情報を探し出す」能力については、2009年調査結果と比較すると、その平均得点が低下。特に、習熟度レベル5以上の高得点層の割合がOECD平均と同程度まで少なくなっているそうです。

「(3)評価し、熟考する」能力については、2009年調査結果と比較すると、平均得点が低下。特に、2018年調査から「質と信ぴょう性を評価する」「矛盾を見つけて対処する」が定義に追加され、これらを問う問題の正答率が低かったそうです。

「自分の考えを根拠を示して説明すること」に課題

また、自由記述形式の問題においては、「自分の考えを根拠を示して説明すること」に、引き続き課題があることも分かりました。

生徒の答えで、不正解となった文章を見ると、自分の考えを他者に伝わるように記述できず、問題文からの語句の引用のみで、説明が不十分な解答となるなどの傾向が見られるそうでした。

文部科学省は「新学習指導要領」の着実な実施で学力向上を図る

文部科学省は、このPISA調査結果を踏まえた施策として、新学習指導要領の実施においては、次の施策を行っていくと発表しています。

PISA調査結果における各課題に対応した新学習指導要領の実施

  1. 主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善の実現
  2. 読解力等の言語能力の確実な育成
    (1)小中高等学校を通じた国語科における指導の充実
    (2)言語能力の育成に向けたカリキュラム・マネジメントの充実
  3. 情報活用能力の確実な育成
  4. 理数教育の充実
  5. 全国学力・学習状況調査も活用した指導の充実

文部科学省・国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」

今回の2018年「生徒の学習到達度調査(PISA)」は、15歳の生徒が受けたものでしたが、未就学児を育てる親にとって、大きな課題が見えたものとなりました。

幼少時代から「自分の考えを根拠を示して説明すること」や「情報を探し出すこと」を教え、デジタル機器の利用に意識的に親しませることで、世界レベルの学力を備える子に育つ可能性が見出されました。

学校教育の進化に期待しつつも、親として今後取り組むべきことについて、参考になる調査結果といえるのではないでしょうか。

<参照>文部科学省「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の調査結果」