2.「将来性のある仕事」を見極め、勉強を続ける

事務員、秘書、接客係、販売員などの仕事は、将来的には、人工知能にとって代わられると言われています。子育て前にしていた仕事自体が、「なくなる」こともあり得ます。

したがって、将来なくなる可能性が低い、人間にしかできない職種を見極め、それらの職種に関する知識を身につけておくことは、再就職、再スタートを有利にする条件といえます。

最近は、子ども連れOKのママ向けビジネススクールもあります。子育て中から、そうしたスクールや通信講座などで勉強して、できれば資格を取得しておくと、いよいよ社会復帰したいというときに、スタートダッシュをスムーズに切ることができます。

私の周りでも、子育て中に社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタントなどの資格を取得し、独立した人、資格を強みに再就職した人は少なくありません。

もちろん、日頃から世の中の動きにアンテナを張り、新聞や書籍、テレビやインターネットなど、さまざまなメディアから情報収集することも大切です。

3.自分の「好き」「得意」を見つけ、それを伸ばす

先にお伝えしたように、ブランク後に未経験から新しい仕事にチャレンジするのは、決して簡単ではありません。

ただし、ママの場合は、子育てや教育、衣食住など生活に根ざした領域で、好きなこと、得意なことを見つけると、主婦目線・ママ目線を活かして成功できることがあります。

たとえば、子どもの幼稚園のバザーのために裁縫を始めたらハマってしまい、腕を上げて、その後裁縫家になったママがいます。

さらに、自営業の夫の経理業務を手伝う中で、お金の管理が得意なことに気づき、簿記の資格をとって経理の仕事についたママや、生活の中で「ここが少し不便…」と感じたのをきっかけに、便利グッズを開発して特許をとったママも…。

当然、食べて行けるまでになるには、相当の努力や行動力が必要ですが、得意な分野で才能を発揮し、収入を得ることは、大きな充実感をもたらすでしょう。

ちなみに、普段から自分の「強み」「得意」を意識し、それをどう活かしていくか考えることは、業種や職種、企業が変わっても通用する「ポータブル・スキル」と呼ばれる能力を高めることにつながります。

変化の激しい世の中で、どこにいっても仕事ができる人は、テクニカル・スキル(特定の職務を遂行する能力)が高いだけでなく、このポータブル・スキルが高い人だと言われているのです。

以上、岡本さんに、「将来の再スタートのために、ママがやっておくべきこと」を3つ教えていただきました。

子どもがいると、行動範囲やできる仕事の種類、時間が制限されることもあります。でも、もし将来、子育て経験を活かしながら、自分らしく活躍できたら素敵ですよね。

子育てしながら仕事や勉強を続けるのは大変ですが、なかには、地道な努力を続けて夢を実現しているパワフルなママもいます。岡本さんのアドバイスを参考に、今のうちから一歩を踏み出してみませんか?

取材協力:岡本真梨子
キャリアカウンセラー、応用人間科学修士。自身の長時間労働や、産後の時短勤務・マミートラックの経験から、女性が柔軟に能力発揮できる働き方の必要性を感じ、女性のキャリア支援の道へ。カウンセラー/講師として活動しながら、第2子出産以降は在宅勤務や子ども同伴出勤なども推進。株式会社エスキャリア共同代表。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。