親子で一晩でも離れたことってありますか?

たとえば上の子が2歳で下の子を出産した場合、産院にいる5日間ほどは、上の子は生まれて初めてママとのお別れ期間を体験することになります。たった5日間くらいのことでも、上の子にとっては一年くらい長く感じる毎日だったりします。

ちょっと、上の子の気持ちになって考えてみませんか?

〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が代弁します。

産院へのお見舞い

「もうすぐ赤ちゃんが生まれます!下の子誕生!」とお知らせがあって、家族みんなで病院に駆けつけました。

上の子は「やっと大好きなママに会える!」とワクワクして、喜びは頂点に達しています。

実は“待ちに待った弟や妹との対面”ではなく、“待ちに待ったママとの対面”を心待ちにしています。一分一秒でも「早くママに会いたい!」と思っています。

ところが……

病室のドアを開けたら、そこにはママに抱き着けない状況が……。なぜならば、大好きなママの腕には天使のような赤ちゃんが抱かれているからです。そのままダッシュして抱き着いたら赤ちゃんが潰れてしまいます。

上の子は「ああ、ママをもう独占できなくなった」と現実を知ることになります。

近所の人も、パパもおばあちゃんもおじいちゃんも赤ちゃんに群がり「可愛い!可愛い!」と喜んでいて、お祝いムード一色です。

その空気を感じて上の子は「ああ、もう自分の存在は薄くなってしまった。王座の場は奪われた!」と感じます。

こうなると、上の子にとっては弟や妹の誕生は手放しで喜べないこととなってしまいます。

退院後

さて、退院後しばらくして幼稚園に登園するときも、今まではママを独占できたのに、ママは生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこして自分を幼稚園に送っていきます。

ママとバイバイした後も「ああ、自分が幼稚園で過ごしている時間、弟(妹)はずっとママと一緒にいられるんだ~」などと羨ましく思っていたりします。

ママ友との話題の中心も生まれた赤ちゃんのことばかり。その後も、「笑った~」「首が座った~」「寝返りを打った~」で「可愛い、凄い」と大騒ぎ。

自分も数年前、周りから同じようにされたことなどすっかり忘れてしまい、「あんなことくらいで話題になって……」と、ちょっとひがみっぽくなってしまう子もいます。

程度の差はあっても、上の子は少なからず、前述のように感じているのではないでしょうか。