3.公的年金プラスじぶん年金をつくろう

現状を把握したら次はどうしたらよいでしょうか?

「思ってたより少ないな…」と年金支給見込額を見てがっかりされる方もいらっしゃると思います。

しかし、公的年金制度は、老齢年金に加えて、障害年金、遺族年金という重要な役割も担っています。

ただし人生100年といわれる現代においては、「長生きを楽しむ」には年金だけでは足りません。

冒頭の炎上報告書にもありましたが、やはり王道としては現役世代のうちから、貯蓄の一部を投資に回して、時間をかけてコツコツとお金を育てる努力をするのが良いでしょう。

貯金や投資、定年後も働けるスキルを身に付けるなど、あらゆる手段を駆使して公的年金以外にも、じぶん年金を準備しましょう。

個人の金融資産を増やすためにiDeCoやNISAなど、個人の資産形成を後押しする制度が近年整備されてきました。

まずはご自分でも制度について勉強し、メリットを感じたら活用してみてはいかがでしょうか。

4.我が家の「この先10年プラン」を描いてみよう

この先の必要な資産額を把握するのに役立つのがライフプランです。

金融審議会市場ワーキング・グループ報告書には「標準的なモデルが空洞化しつつある以上、唯一の正解は存在せず、各人の置かれた状況やライフプランによって、取るべき行動は変わってくる。

今後のライフプラン・マネープランを、遠い未来の話ではなく今現在において必要なこと、「自分ごと」として捉え、考えられるかが重要」とあります。

「ライフプラン」とは、現在の年齢から平均余命までを表記し、今後想定されるライフイベント(出産・進学・就職・結婚・住宅購入・定年等)を書き込んだ「未来予想図」です。

家族の将来を具体的にイメージすることで、希望のライフプランに沿ったマネープランを立てることができます。

目の前の事でいっぱいで、そんな先の事までイメージできない…という方は、「この先10年」プランを立ててみてはいかがでしょうか。

30年先は漠然としていても、この先10年位なら想定できそうな気がしませんか。

ただしライフプラン表を作成して数年経過すると、想定外の状況が起こって環境が大きく変化していることがあります。

例えば災害の為に予期せぬ引っ越しをしたり、高齢の親と同居することになったり、職場の人間関係に悩んで転職をしたり、なかなか想定通りにはいかないので、時々見直しをすることも必要でしょう。

ライフプランを立てた結果、我が家の場合、この先10年は子ども達の教育資金を貯める事に集中すべき期間です。教育資金といっても、実際いくらかかるかはわかりませんが、様々な情報を参考に、色々な進路を想定してコツコツ準備したいと思います。

また教育資金を貯めるには親たちが健康でバリバリ働くことも必要なので、自分の体もメンテナンスしつつ、仕事に励みたいと思っています。

5.親子で金銭教育のススメ☆

年金にかかわらず、お金のことや社会のしくみを普段から親子で話し合う事は、これからの時代は必須だと感じています。

お恥ずかしい話ですが、私の年金加入履歴は、20歳から大学卒業して就職するまでの約2年半の間、国民年金の未納期間となっています。

全くの無知だった私は公的年金制度についてきちんと勉強したのが社会人になって数年後だったので、遡って納めることも出来ず、毎回加入履歴をチェックする度に「20歳前に、年金制度についてちゃんと教えておいて欲しかったな~」と残念に思います。

子どもにどんなに教育資金をつぎ込んだとしても、子ども自身が経済的に自立できるようにならなければ、お金はいくらあっても足りません。

私が所属するキッズ・マネー・ステーションでは、全国各地の認定講師が親子で学べる金銭教育のイベントを企画しておりますので、機会があればぜひお立ち寄りください。

私自身は、変化を恐れず、むしろ楽しもう!と腹をくくってから、あまり将来の不安に悩まなくなりました。

悩むヒマがあればまず実践!→失敗したら、なぜ失敗したのか考える→やり方を変えてまた実践。このサイクルを回し続けることで、良い循環が続くことを実感しています。

仕事・家事・育児に追われる怒涛の日々。

大切なことをつい後回しにしてしまいがちな子育て世代ですが、資産形成に留まらず、10年後の自分に「よくがんばった!」と褒められるように、いまできることからスタートしましょう♪

髙柳 万里(たかやなぎ まり)

キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーの夫と、子ども二人の4人家族。

金銭教育を受ける機会が全くないまま社会人となっていたことに愕然とし、必要に迫られて平成二十年にFP資格取得。「未来の自分を養うのは今の自分」をモットーに、保険分野を専門にアドバイスしています。

小学校入学を機にお小遣い制をスタートした息子と、最近お金に興味を持ち始めた保育園児の娘が、一生を通じて上手にお金とつきあうためにはどうしたらよいか、日々試行錯誤中です♪

 

 

「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2023年までに2000件以上の講座実績を持つ。公式サイト「キッズ・マネー・ステーション